« 「スリ-・ビルボード」:恩讐の彼方に | トップページ | 「デヴィッド・リンチ:アートライフ」:若き芸術家の肖像 »

2018年2月 5日 (月)

「羊の木」:優香がなんかすごい

361374_006

映画『羊の木』は、いろいろとわからない事の多い映画ですが、何が最もわからないって、このタイトルです。冒頭に字幕で「羊の木」とは何々ですって出るんですけど、それでもわかりません。今、公式サイトに出てるその文章を二度読んでみたのですが、それでもわかりません(吉田羊と関係ないことはわかりました)。自分がバカになったような無能感にさいなまれる謎のタイトルです。

361374_005_2
前作『美しい星』で“やっちまった”吉田大八監督ですが、本作はオーセンティックな日本映画らしい空気をまとったドラマとして、正攻法で観る者に迫ります。かなり不穏で、ちょっとヘンテコな味わいを持っていますが、それは(未読ですが)山上たつひこ×いがらしみきおの原作マンガのテイストだったりするんじゃないのかなあ(推測ですけど)。もっとも映画は原作と相当違うらしいんですけど。

361374_003

元殺人囚6人ってのが個性派揃いなのですが、水澤紳吾だけが役者の知名度としては他の方々に負けてます。もちろん大江戸なんかには馴染みの顔なのですが、主役や二番手を張れる他の方々に較べると、専門のバイプレイヤーって感じなので・・・。でもその分渾身の熱演を見せてますよ。 で、一番ぶっとんだのは優香! 見てくれからして優香っぽくないのですが、「こんな芝居ができるんだぁ」という驚きで、目が離せませんでした。常に瞳をうるうるさせちゃって、何なんでしょう、この「触れなば落ちん」的なヤバさは。

361374_004そもそも彼女は(ニンフォマニアックな傾向があるにせよ)、なんで錦戸亮ではなくその父親に接近した(あるいは好きになった)のでしょうか? 老け専だってだけなのでしょうか? 謎です。そこらへんのわかのわからなさを含めて、やっぱり優香がなんだか凄いんです。

終始不気味な一触即発感と不信感を湛えながら、吉田大八監督は「で、あなたはどうなの?」と観客の中の差別意識を問うて来ます。ここらの苦い口当たりの悪さが、いかにも吉田大八なのです。

|

« 「スリ-・ビルボード」:恩讐の彼方に | トップページ | 「デヴィッド・リンチ:アートライフ」:若き芸術家の肖像 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「羊の木」:優香がなんかすごい:

» 「羊の木」☆人は見かけによらない [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
猛吹雪の中、地下鉄なら電車が止まらないのをいいことに、のん気に試写会へ行ってきたyo 奇想天外な設定の邦画は当たりハズレが極端に出るけれど、最初から最後までざわざわさせて目が離せない映画でなかなかに面白い!! 試写会場はお客さんも半分ほどだったけど、雪の中出掛けて行って良かった~♪... [続きを読む]

受信: 2018年2月 6日 (火) 00時33分

» 劇場鑑賞「羊の木」 [日々“是”精進! ver.F]
詳細レビューはφ(.. ) https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201802030000/ ▼CD/映画「羊の木」オリジナル・サウンドトラック/オリジナル・サウンドトラック/MPCS-22 [2/2発売] [続きを読む]

受信: 2018年2月 6日 (火) 06時32分

» 映画『羊の木』★彼らが“普通”に生き直すことを [yutake☆イヴの《映画★一期一会》]
作品について http://cinema.pia.co.jp/title/171421/ ↑あらすじ・配役はこちらを参照ください。 (原作とは異なるようです) ・月末:錦戸亮 ・宮腰:松田龍平 ・文:木村文乃 ・杉山:北村一輝 元殺人犯6人は、受け入れ先の魚深市で、それぞれ自活する。 彼らの素性がわかり始め、問題も生じ始める中 担当職員:月末は、彼ら...... [続きを読む]

受信: 2018年2月 7日 (水) 21時17分

» 羊の木 [象のロケット]
さびれた港町・魚深(うおぶか)市。 市役所職員・月末(つきすえ)は、新規転入者6人の男女の受け入れ担当を命じられる。 実は彼らは全員、仮釈放中の殺人犯だった。 刑務所のコスト削減と地方の過疎対策を兼ねた国家の新プロジェクトが、この魚深で極秘に行われるのだ。 警察も雇用主も家主も彼らの過去を知らず、6人は互いの存在を知らない、はずだったが…。 サスペンス。... [続きを読む]

受信: 2018年2月11日 (日) 08時52分

» 羊の木 [風情☭の不安多事な冒険 Part.5]
 日本  ミステリー&ドラマ  監督:吉田大八  出演:錦戸亮      木村文 [続きを読む]

受信: 2018年2月12日 (月) 11時22分

» 羊の木 [冥府の映画的・絵画的・音楽的]
 本作は6人の仮釈放された元受刑者を受け入れることになったある地方都市でのお話。主人公はその受入を担当することになった市役所職員。彼を中心にして、6人と地方都市の住人等との関わりが形成されるとともに、その地方都市における伝統的なお祭りも絡んできて、物語は思いもよらない方向に展開していきます。なかなか興味深いストーリーとはいえ、タイトルの「羊の木」の意味合いを始めとして、よくわからない...... [続きを読む]

受信: 2018年2月16日 (金) 18時26分

» 映画「羊の木」  優香の色気がすごい [栄華通信  朕竹林映画ブログ]
映画「羊の木」を観ました。 少子化に悩む自治体が、対策と国からの補助金をあてにしてある実験的政策を行います。 出所した殺人犯を住民として受け入れることです。 オープニングの羊の木の意味の説明から始まって、いかにも何か起こるという雰囲気で話は続いていきます。 うーん、思わせぶりなオープニングに比べ、何か物足りない感じです。 原作は面白いんだろうなということは感じました。 北村一輝のやんちゃそうな感じがいいです。 そして、優香の色気がすごいです。役者として見直しました。 邦画「羊の木」 2018年 監督... [続きを読む]

受信: 2018年3月 5日 (月) 09時49分

« 「スリ-・ビルボード」:恩讐の彼方に | トップページ | 「デヴィッド・リンチ:アートライフ」:若き芸術家の肖像 »