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2018年2月22日 (木)

「リバーズ・エッジ」:若手俳優の芝居合戦

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映画『リバーズ・エッジ』は、かなり骨のあるハードな、そしてエッジの効いた作品。暗いです。いじめから殺しまでダークサイド満載。それを無感覚に傍観し続ける主人公(二階堂ふみ)と、台風の目のようなミステリアスな同級生(吉沢亮)。

’90年代前半を舞台にした作品なのに、現代とあまりに共振していて、時々年代を忘れるぐらいアップトゥデートなのに驚きます。まあ、実際に「何年」とは限定されていないのですが、誰も携帯電話持っていませんから。家電話、緑電話の世界なのです。

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行定勲監督、近年は原作モノで好調が続きます。『ピンクとグレー』とか『ナラタージュ』とか本作とか (オリジナルの『ジムノペディに乱れる』は芳しくありませんでしたが)。 スクリーンサイズがスタンダードだったのにびっくり(というか、むしろ新鮮)。で、聞くところによると最後の方だけビスタサイズに広がったのだそうですが、小生は全然気づいておりませんでした。 あとセクシャルな描写の冴えと思い切りに関しては、さすがロマンポルノ・リブート作(『ジムノペディ~』)を手掛けただけのことはあるな、って感じ。

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若い役者たちが(ってゆーか大人はまず出て来ないんです、この作品)それぞれ見事! 二階堂は今更言うまでもありませんが、吉沢亮の神秘性と美しい顔だちと無表情の下の狂気は、称賛に価すると思いました。特に終盤の驚愕→狂気&狂喜の表情への変化などは、見ものです。

その他、暴力ジャイアンの彼も、尻軽フラッパーな彼女もその姉役も、摂食障害の彼女も・・・みんな適材適所です。

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夢見る乙女役の森川葵の歪み方が、これまた凄かったです。すっごいブリッコキャラなのに、ある事をきっかけに狂っていくさまが、なかなかにコワイんです(笑顔が徐々に凍り付いていくところとかね)。そもそもこの人、本当に「カメレオン女優」というか、役柄によって顔も演技もガラッと変えて来る凄さがありますよね。

終盤にある凄絶な姉妹ゲンカの場面には、「なーんだ。もしかして『犬猿』の姉妹って、ここに元ネタがあったんじゃないの?」って思ってしまったのでした。

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