「The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ」:かっこつけてて、つまらない
映画『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』は、クリント・イーストウッド主演&ドン・シーゲル監督の『白い肌の異常な夜』(こちらも原題は“The Beguiled”)をソフィア・コッポラがリメイクした作品。“beguiled”とは、「欺かれて」「騙されて」という意味ですが、同時に「退屈を紛らせて(退屈しのぎ)」という意味もあるので、そう考えた方がなかなか恐ろしい感じです。
まあ(作家の資質からして)当然と言えば当然ですが、シーゲル版(大昔TVで見たっきりですが)は、心理ホラーであり、娯楽作品として成立しておりました。でもこちらは、いかにもソフィア・コッポラらしい、ふんわりと繊細な個人映画みたいになっておりました。『ヴァージン・スーサイズ』みたいとも言えるかなあ。その上、やけに演劇的です。そのまま舞台で上演できそうですね。
それにしてもハラハラしなければ、怖くもない、美的感性に打たれるとまでは行かない・・・そうすると、あんまり見る所ないんですよねー。1時間33分とコンパクトだから退屈はしませんでしたが、どうにも物足りない作品でした。 現代の観客(の大多数)に応えていない作品なのではないでしょうか。この題材は、オシャレでアートっぽくかっこつけてるんじゃなくて、もっとエグく抉っていかないと・・・。
一番腑に落ちず白けてしまったのは、キルスティン・ダンストがコリン・ファレルから「今まで見た女性の中で一番美しい」とか言われること。もちろんそこにファレルのリップサービスが入っているわけですが、それにしても('82年生まれ)まだ35歳なのに、老けて40アップにしか見えないダンストの冴えない顔を見ながら聞いてると、「うそだーい」としか思えません。この人、『ドリーム』でもえらく老けてましたけど、何かご苦労があるのでしょうかねえ。
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