「サニー/32」:デタラメパワーのコメディー
映画『サニー/32』は、かなりかっ飛んだ怪作ながら、好調・白石和彌の勢いを感じさせる作品。面白いです。笑えます。これ、アメリカのゴールデングローブ賞だったら、「コメディ・ミュージカル部門」に分類される作品でありましょう。(映画館で観ていたみんな、もっと笑っていいんだよ。)
(以降少々ネタバレあり) 特に笑っちゃったのが、登場人物たちが死ぬところ。だって、『仁義なき戦い』ばりにバーンと字幕がかぶるんですもん。「○○死亡 享年××歳」って感じに。終盤などは、おいおい冗談はよせって具合に、どんどん人が死んでいきます。それが笑えちゃうんですから、困ったもんです。
高橋泉脚本は、ネットでの発信とネット民の反響をダイレクトに画面で見せていきます。動画のところは「ニコ動」みたいに、リアルタイムの書き込みが流れていきますし。これまでの日本映画では、いちばんリアルかつ有効に用いられた例ではないでしょうか。 一方で監禁犯とそこに加わった人々のリアルなダメダメ感も、よく描けています。 後半のサニー教祖化(&聖母化)の展開には、ちょっと唸りますね。
北原里英のオバQみたいなタラコ唇に驚きながら、その「ネ申」っぷりに納得し、真贋サニー対決の緊張から「ここで終わるんですかい?」なラストまで、目が離せない展開でありました。
今の日本映画界で、これだけ「デタラメのパワー」を発揮できるのって、やっぱり園子温と白石和彌ぐらいだと思います。ああ、『孤狼の血』が楽しみです。
*ああ、『サニー/32』を書いたの3月3日だったー! 1日早ければ3月2日、まさに「32」だったのにぃ! えー、写真はバルト9のロビーに置かれていた陰惨な「サニー人形」であります(笑)。
| 固定リンク
コメント