「ちはやふる 結び」:有終の美
映画『ちはやふる 結び』は、『上の句』『下の句』という2部作公開以来約2年ぶりの完結編。見事に面白く盛り上げてくれた『上の句』と、グダグダとスローダウンして評価を下げてしまった『下の句』に続くだけに、どうなるかと思いましたが、きちんとV字回復で、『上の句』のレベルに戻しました。スポ根ものとして、恋愛ものとして、青春ものとして、十分に面白い安定の仕上がりとなっています。
馴染みの面々を見ると安心しますし、ちょっと懐かしい感じ。で、そこに化学変化をもたらす新キャストもいます。中でも孤高の天才(変人)周防役の賀来賢人! あれ、この人こんなに良かったっけ?と思うほどの好演(一部怪演交じり)。やけに声が小さいこととか、突然泣き出したかと思えば豹変するとか、ムダなほどカッコイイこととか、どうにもヘンで素敵です。彼にはこの路線を極めてもらいたいと思います(そこに勝機があるのではないかと・・・)。
今回、出番は多くないし、葛藤もあまり無いのですが、広瀬すずは頑張ったと思いますよ。むしろ狂言回し的に、周囲を生かしています。
かるたの試合の興奮や緊迫感を捉える見事さは、これまで同様かこれまで以上。その他の日常描写もいいんですよねー。小泉徳宏監督、なんだか王道です(決して「キラキラ映画」には堕さないというか・・・)。 三部作作るんなら、こう作れっていう模範のようでもありますしね。
エンドタイトルバックの出だし部分は(たぶん写真から起こした)水彩画風の主人公たち。とても美しいタッチと気持ちの良い色彩で、省略と余白が効いていて、これは素晴らしかったなあ。 続いて、いつもの和風ポップなタイトルバック。これ、デザイン的にも色彩的にも大いに評価できると思います。クール・ジャパンです(パフュームの曲との相性もいいし)。
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