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2018年3月 4日 (日)

「シェイプ・オブ・ウォーター」:異形の純愛映画の新たな古典

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映画『シェイプ・オブ・ウォーター』は、邦題つけるんなら『恋する半魚人』でしょうか・・・。大アマゾンのギルマンみたいな奴が、でもつぶらな瞳で結構かわいくて、まさかの幻想ミュージカル場面まで! なのに決してキワモノの怪作ではなく(それは『ゆれる人魚』)、正統派の感動作として、明日のアカデミー賞でも大本命なのでしょう。

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青緑色の映画です。主人公の服から、壁からドアから水槽から水の色まで、深い青緑が支配します。それはもちろん“彼”の色でもあります。

1962年を舞台にした映画美術や衣装が見事です。ノスタルジックに美しく、古き良きアメリカを示しながら、その内包する歪みや不寛容を描き出し、それを寓話として昇華させる映画作りのマジックの源となっております。

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サリー・ホーキンス(今年に入ってから、『パディントン2』と本作と『幸せの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』と、「サリー・ホーキンス祭り」状態ですが)の芝居の見事さは、予告編の段階で感動させるほどのものでしたが、やはり見事です。 でも、ザ・悪役マイケル・シャノンの押しの強い憎々しさは近来稀に見るパワフルな悪でした。顔見るのもイヤだけど、評価せざるを得ない演技でありました。

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『フランケンシュタイン』や『キングコング』から『ザ・フライ』や『美女と野獣』や『シザーハンズ』まで(ほかにもいろいろ)、映画史に数多く存在する「異形の純愛」映画の系譜に名を連ねる名作となる1本です。ファンタジーを通してでないと純愛を語りにくい時代ですから、“正統派”の香りが漂うわけです。そして、ギレルモ・デル・トロ監督は黄金期のハリウッド映画を実に良く勉強して、本作に生かしています。この展開、この描写、このドラマ・・・、古きを訪ねて新しい「クラシック」を生み出したと言えるでしょう。

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TOHOシネマズ新宿で観たのですが、ロビーにはこの1月にギレルモ・デル・トロ監督が来日した時の似顔絵サインが掲げられておりました(さすがはマンガ好きです)。

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コメント

こんにちは。こちらにも。

作品賞!オッズ低くとも、一応作品・助演男優・主演女優、全部当たりました。だからなに?な話ですが。いやでも正直この暗黒テイストが受け入れられるかどうかは賭けでしたけれど。作品賞だけでなく監督賞も持って行ったのですよね~。

興奮のアカデミー賞発表当日でした。

投稿: ここなつ | 2018年3月 5日 (月) 17時31分

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