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2018年3月21日 (水)

「素敵なダイナマイトスキャンダル」:猥雑で緩い時代の空気

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映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』は、昨年公開の『南瓜とマヨネーズ』がなかなか良かった冨永昌敬監督の新作。'70~80年代の空気をたっぷり味わせてくれる2時間18分です。やや長めですが、飽きませんよ。伝説の編集者=末井昭(篇中にもカメオ出演してました)の破天荒な半生を、その母のダイナマイト心中エピソードと共に描き、飽きさせません。面白いです。笑えます。

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ノスタルジックな昭和後期の時代再現は努力賞ものですが、それのみならず時代の空気--ハチャメチャさや猥雑さや緩さや自由さ--をしっかりと表現しているのが、本作の良さ。空調がまだ整っていなかったり(やたらと暑かったり)、そこら中タバコの煙で満ちていたり、もちろんケータイなんて無かったりといった時代の空気をしっかり感じさせているのです。いろんな匂いがする映画です。

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そして、こういう独特の分野で一時代を画した人の伝記的物語って、アメリカ映画にはよくあるんですけど、日本には意外と無いですよね(そうか、この映画「日本版『ラリー・フリント』と言えるのかも)。

末井昭を飄々と演じる柄本佑は、そのうさんくささや狂気の影を含めて好演でした(まあ、いつも通りとも言えますが)。 脇では、松重豊さんが面白かったなあ。

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エンドタイトルに流れるデュエット曲が、なんと尾野真千子&末井昭の歌によるものだったのでビックリ! (末井さんはともかく)尾野さん、なかなかいいですよ。

ラストシーンのその後も見続けたかった感じです。

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毎度おなじみ、テアトル新宿のロビーにあるショーウインドウ内の出演者の衣装展示。今回は向かって左が柄本佑、右が前田敦子のです。で、バックには『写真時代』などのページが貼られておりました(ヤバそうなところにはマスキングテープが貼ってあったりして)。で、下の方にはダイナマイトが数本転がっているという芸の細かさであります。

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» 素敵なダイナマイトスキャンダル [象のロケット]
子供の頃、母親が若い男とダイナマイト心中という衝撃的な死に方をした、青年・末井。 岡山の田舎町から上京した彼は、キャバレーの看板書きやイラストレーターを経てエロ雑誌の編集長となる。 警察のガサ入れや発禁処分を受け、創刊と廃刊を繰り返しながらも、数々の雑誌を世に送り出していくのだった…。 青春ドラマ。 R-15+... [続きを読む]

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