「空海 美しき王妃の謎」:信心深い人は観ちゃダメ
映画『空海 美しき王妃の謎』(日本語吹替版)は、CGたっぷりの現代的娯楽作品。「娯楽大作」と呼んでもいいスケールなのですが、一方ではキワモノ感もそこそこ漂っておりまして(何せ原題が“妖猫傳”ですから)・・・。チェン・カイコーって、こうなっちゃったんですね。
弘法大師様の若き日々を描いた作品などと思って行くと、かなり想像を外れていることは確かです。あまりにも荒唐無稽なので、真言宗はじめ仏教関係者は快く思わないのではないでしょうか。
染谷将太演じる空海さんは、探偵のようであり、また本作の狂言回しでもあります。白楽天との間に、微かにゲイっぽい空気が感じられなくもありません。
楊貴妃に関しては、まあきれいな顔の女優さんなのですが、難しいですよね。国を亡ぼすほどの、世界の三大美人に挙げられるほどの圧倒尾的な美しさとなると、いくら美人さんが集まっている映画界とはいえ、説得力を持って演じられる人などまずいないでしょう。ハードルの高すぎるお題なのです。
CGは使い過ぎなほど使いまくってますが、黒猫の動きとか結構雑な仕事も目立ちます。現在の世界トップレベルのCGとは言えませんよね。 その一方、セットなどの美術は素晴らしかったですよ。「汚し」なども含めて、上質な仕事をしているのがわかりました。衣装も良いですね。 こんなんだったら、中国の映画はCGに頼らないで、物量ガンガン、人海バンバンで、昔ながらの映画作りをしてくれた方がいいのに。その方が世のため人のため映画のためだと思うんですけどね。
まあ序盤に危惧したほどのトンデモ映画にはなりませんでした。後半は歴史大作(奇想天外ではありますが)としての風格さえ(少しだけ)漂っておりました(少しだけですよ)。
それにしても阿部寛の阿倍仲麻呂って、・・・名前で選んだのでしょうか? 当時の日本人に見えないこと著しいです。彼の乗った遣唐船が渦潮に巻き込まれて、プハーッっと顔を水面に出すとローマ風呂! なんてのが良かったなあ。
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