「北の桜守」:ヘンテコだあ
映画『北の桜守』は、かなりヘンですよ。っていうか、近年「ヘン」化の一途を辿る「吉永小百合映画」の中でも、『ふしぎな岬の物語』と並ぶぐらいヘンです。
吉永作品がヘンになっちゃうのって、なぜなんでしょうねえ? 誰も「それは違う」って言えないから? 今年73歳の小百合さんが(推定)30歳ぐらいの役を(映像なのに)演じちゃうから?
舞台ならわかるんですよ。演劇のマジックがありますから。杉村春子さんが恒例になっても若い娘を演じたようなもので、リアリズムの無理が成立してしまうのです。 あっ、だから劇中の戦時中の出来事を舞台劇(演出=ケラリーノ・サンドロヴィッチ!)にして、映画に組み入れたのかなあ? でもこの演出って、映画的には完全に失敗してましたよね。融合しないで、違和感のみ。何も頭に入って来ないし、感情に届くものがない。やはり舞台はナマで空気を感じながら観るものですね。
で本作のヘンテコ具合に拍車をかけるのが、息子役の堺雅人。1971年の時代色を出そうとしたのでしょうけれど、太縞シャツに時々トレンチコートで、あの毛量多めの七三分けって、・・・『太陽にほえろ』の石原裕次郎ではありませんか! しかも(堺の柄に似合わず)顔にドーラン塗って、色黒にして。ほとんどコントみたいでした。
この作品、広告コピーに「衝撃の結末」とか大々的に出ているのですが、「え、何が衝撃なの??」って感じでした。そんな大それたことは起きません。っていうか、これで終わっちゃうの?ってこと自体が衝撃かも。腰が崩れそうなエンディングではありました。
金券屋さんで480円で売ってた特別鑑賞券で観たのですが、そのショップの貼り紙はこれでした--「480円 この値段なら、つまらなくてもいいでしょ」。
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コメント
こんばんは。
本当にヘンテコな映画でしたね。
松竹が作る吉永作品(ほとんど山田洋次監督ですが)はまだ出来のいい作品もありますが、東映が作ると、必ずヘンな作品になってしまいますねぇ。
>金券屋さんで480円で売ってた特別鑑賞券で観たのですが…
そう言えば、やはり吉永小百合主演の東映作品「まぼろしの邪馬台国」公開時も、なんじゃこれはと悪評フンプンの上に、前売券が金券ショップで100円で売られてたと話題になった事がありました。
投稿: Kei | 2018年4月 7日 (土) 01時12分
Keiさん、コメントありがとうございます。
なぜなんでしょうねえ。
後年、吉永小百合×東映作品の「ドイヒー怪場面」特集がTV番組で放映されたりするかも知れません。
投稿: 大江戸時夫 | 2018年4月 8日 (日) 12時51分