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2018年4月 1日 (日)

「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」:報道が仕えるべきは統治者ではなく、国民

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映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』は、スピルバーグがトランプ政権に突き付ける匕首(あいくち)として、速攻で撮った作品。やっぱりハリウッドの映画人たちは凄いですね。映画内の人物みたいに、ヒロイックでドラマチックな覚悟があります。メリルやトムもそうです。 日本だと絶対そうはならないんですよね。少しでも現政権を批判したり揶揄したりするような映画って、少なくともメジャーでは作られることがありませんもんね。

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スピルバーグの偉大な所は、こういう政治性、メッセージ性の強い作品でも、あくまでも上質なエンタテインメントとして提供すること。『シンドラーのリスト』も『プライベート・ライアン』もそうですもんね(実はそれがうまくいかなかった失敗作もありますけど)。見事に古典的な正統派ハリウッド映画として、楽しませてくれます。それでこそ、多くの人に届く=メッセージがより生きると熟知しているのです。 ラスト近くの「報道が仕えるべきは統治者ではなく、国民である」という言葉、これが一番伝えたかったのでしょう。

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感動的なのは、伝統的な「職業倫理の映画」にもなっているところ。報道人、新聞人としての正義を貫くということ。困難と戦って仕事をやり遂げるダイナミズムは、常に人を感動させます(池井戸潤の作品って、まさにそうでしょ)。活字を組んで、鉛で製版して、輪転機に掛ける--これって20世紀の絵ですねえ。そして今、このノスタルジックな作業を丁寧に映像化してくれたことも、意義深いと思うのです。

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メリル・ストリープはやっぱりうまいですねえ。とにかく繊細で、見事なんです。トムはあくまでもトム・ハンクスなんですけど、メリルは作品ごとに完璧に別人です。本筋のテーマ意外に、女性の時代の嚆矢だったということも、彼女の演技ゆえに説得力を持って描かれています。

アメリカのみならず、日本にとっても非常にタイムリーな題材となったこの映画。両国のすべての報道関係者には、ぜひ鑑賞していただきたい作品です。報道関係者のみならず、官僚の方にもね。

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