「ラッキー」:じいさまの退場
映画『ラッキー』は、昨年91歳で亡くなったハリー・ディーン・スタントンの遺作。作中の設定では90歳のじいさまを演じています。まさにハリーの幕引きのために作られたような作品です。
体操したり、街をうろついたり、馴染みのダイナーやバーに行ったり、じいさんの日常を淡々と描いて、何もドラマティックな事は起こりません。 ほとんどラッキーじいさんの観察日記みたいになっています。そういう映画なんです。
デイヴィッド・リンチも出ております。陸ガメの家出を心配するおやっさんの役。いつもながらの味がありますね。
タバコを吸い続け、悪態をつきまくり、でも人々から嫌われない(むしろ好かれている)ラッキーじいさんを、仏頂面で演じるハリー。見事な遺作ではありませんか(味のある歌声も披露しましたしね)。
でもまあ、そんなに大した(映画史に残るような)作品ではありませんし、あまりに何も起こらないので、現在の88分以上ある作品だったりしたら、しんどかったでしょうね。
ハリーが田舎道を去って行くラストも、題をつけるならば『砂漠の流れ者』って感じで、名優の「退場」にふさわしいものでした。カメが効いてるんだ、また。
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