« 2018年4月 | トップページ | 2018年6月 »

2018年5月31日 (木)

「モリーズ・ゲーム」:面白いけど、長い

362607_008
映画『モリーズ・ゲーム』は、かなり面白いですね。そして、半年ほど前の公開作『女神の見えざる手』にも共通するような主人公のキャラクターと知的ゲームが楽しめるエンタテインメント。言うまでもなく、どちらもジェシカ・チャステインの主演です。この人、こういう(今の時代に合った)キャラクター演じさせたら当代一。無敵です。

362607_004

それにしてもこれが実話ベースだってんで、びっくりです。モリー・ブルームの類稀なる半生をダイナミックに描きます。ジェシカが演じたので、リアルな説得力が出ました。そうでなきゃ、実話なのに荒唐無稽過ぎて・・・。

362607_003
そこらをスリリングでパワフルな娯楽作として結実させたのは、名脚本家のアーロン・ソーキン。本作は彼の初監督作でもありますが、「新人」らしからぬ堂々たる演出を見せています。ただ役者たちの好演が大いなる後押しとなったことも確かでしょう。ジェシカはもちろんのこと、弁護士役のイドリス・エルバが見事! 知性と強さと人間の深みを湛えたキャラクターで、このように演じられる人はなかなかいません(今までこの人、ノーマークでした。今度から注目します)。

362607_002_2

ただ2時間20分ってのがさすがに長くて、中盤以降はシーンが長過ぎて、そこが欠点。2時間以内に収めた方が、引き締まった秀作になったであろうに、残念です(ちなみに『女神の見えざる手』も2時間12分ありますが、あちらはダレ場一切なしでした)。脚本家が監督も務める場合って、自分で書いたものを切れずに、ぜーんぶ丁寧にたっぷりと撮って、編集で残しちゃうもんだから、ダレがち、たるみがちなんですよねー。本作もその陥穽(かんせい)から逃れることはできませんでした。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2018年5月30日 (水)

言わんこっちゃない

ワールドカップ・ロシア大会前の国内最終試合、日本vs.ガーナをTV観戦。いやあー、稀に見るひどい試合でした。0-2という結果以上に、内容がドイヒー。 だあーかあーらあー言ったんですよ、3年の積み上げを捨てて大会2か月前に監督を替えたって、「百害あって一利なし」だって。

まあある意味思った通りだったのですが、それにしてもW杯出場国として恥ずかしい試合でした。試合終了時にはTVでもわかるほどのブーイングが起きていましたが、まあ当然ですよね。こんな雨の中、6万4千人も観に来てくれたのに、これではね。 前日のインタビューでは、みんな「気持ちのこもった試合をする」「すべてをかける」みたいなこと言ってたけど、とてもそのようには見えませんでした。

協会や広告会社やスポンサーが期待したであろう本田、香川、岡崎もいいとこなし。柴崎や武藤もミスが多く、期待に届かず。小生が個人的に期待していた井手口は、やはり試合勘が鈍っているのか、これまたミスだらけでいいとこなしでした。 こんなんじゃ、明日の23人メンバー発表に向けての判断材料になりゃしないと思うのですが、どうなんでしょう?

だから、明日のメンバー発表にはサプライズに期待しちゃいます。絶対、中島翔哉や中村憲剛を入れるべきだよなーと思いつつも、そんなことは起きないだろうなあともわかっちゃうのですが、さて・・・。

現時点の26人から3人落とすんだったら、本田、香川、岡崎でいいじゃんなどと思ってしまうわけですが、そうはならないんでしょうね(でも一人二人落ちることはあり得るのでは?)。

いずれにしても、今日の試合ぐらい日本代表を応援できなかったことは初めてですし、ワールドカップ間近なのに、こんなに何も期待できないってことも(悲しいことに)初めてです。 田嶋会長、どうしてくれるんですか!!

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2018年5月29日 (火)

「タクシー運転手 約束は海を越えて」:どこまでが事実?

362468_005
映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』は、1980年の光州事件を題材にした娯楽作。本来とてもシリアスな話なのですが、ソン・ガンホを主役に迎え、映画的な脚色をたっぷり施して、いかにも韓国映画らしい「通俗の力」を前面に押し出しています。楽しくも、心に刺さる作品でしょう。

362468_003

一応事実がベースになっていますし、エンドタイトルには実在したドイツ人記者の映像が流れます。でも観ていて、「これ、どこまでが本当の事実なの?」と思わざるを得ませんでした。それぐらいフィクショナルであり、劇的なのです。

362468_010
その最たる部分は、終盤の感動的なカーチェイス。さすがにこれはフィクションだと思うのですが、映画的には正しい選択でしょう。 そういった誇張は作品をとおして存在しますし、そういう「通俗化」の作業があってこそ、多くの人々に響く作品となるのでありましょう。

362468_008

無知でそれゆえ権力側にコントロールされやすい庶民(ソン・ガンホ)が、衝撃的な体験を通じて「気づき」に至るという、啓蒙的な物語です。2時間17分を一気に突き進むパワーが、きちんと宿っている力作です。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2018年5月27日 (日)

「ピーターラビット」:英国は実写化が上手

363106_007
映画『ピーターラビット』は、95分を突っ走る面白さ。展開は速く、やることは過激。ビアトリクス・ポターの原作に較べて、明らかに行儀悪いけど、まあ子供から大人まで楽しめる娯楽作として、上々の出来です。イギリスって、『パディントン』にしても本作にしても、こういうのの実写版がうまいですね。

363106_002

とにかくピーターをはじめとするウサギや動物たちのCGIがさすがなんです。毛の質感、動きのナチュラルさ、表情と、それぞれが完璧。しかも(ここが大切な所なんですが)ポターの絵のキャラクターにそれぞれそっくり。パディントンがあまり原作の絵に似ていなかったのとは対照的に、これは見事なもんです。

363106_001
話を大きく広げることなく、登場人物も限られた中で、ウサギvs.人間のドタバタや追っかけっこに終始するし、同じような場面も多いといえば多いのですが、飽きさせません。上手に作ってありますね。笑いのツボもいっぱい押さえてます。それにしてもいたずらっこ過ぎるな、こいつら。

363106_006

ドーナル・グリーソンの役って、以前だったらヒュー・グラントが似合いそう。でも、ヒューはもうその年齢じゃないし、『パディントン2』に出ちゃいましたもんねー。

続編の制作も決まったそうで、楽しみです。それはそうと、ウサギってああやって謝るんですね。知りませんでした。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2018年5月26日 (土)

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」:ちょっぴり天国と地獄

362655_002

映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』は、いわゆる社会派なんですけど、社会派然とせずに、アメリカのお菓子みたいな色彩の中でラフにタフに育つ子供たちを、そしてその若い母親の苦戦ぶりを追っていきます。そこから隠れホームレスの問題が、リアルに浮かび上がって来るのです。

362655_003

それにしてもドキュメンタリーと見まごうほどにリアルな(子供たちをはじめとする)、登場事物たちの演技です。ウィレム・デフォー以外ほぼ素人みたいなキャスティングなので、それによってリアル感が増していることも確かですが、まあそこらはショーン・ベイカー監督の持ち味なんでしょうねえ。

362655_001

で、アカデミー助演男優賞にもノミネートされたウィレム・デフォーがいいんですよねー。あんた、いい人だ。

6歳の女の子ムーニーとそのビッチな母親が、これまた奇蹟的で、見ていて見飽きることがありません。この女の子もあと数年で、母親みたいなしょーもないことになっちゃうんだろうなあと思わせる、そんな好演であります。

362655_004
抜け出せない貧困のスパイラル。一方で「そんなに悪態ばかりついてるから、そうなっちゃうんだ」という見方に傾いたりもしがちですが、もう一方では「こういう人たちへのセーフティネットって無いよねえ、どこの国でも」と思ったりもします。

ラストをどう解釈するかは微妙な所ですね。夢と魔法の国の隣にある貧困(ちょっと黒澤明の『天国と地獄』みたいですね)。これを救えるのは、やっぱり「教育」なんだけどなあ、と大江戸は思ったりするのです。

続きを読む "「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」:ちょっぴり天国と地獄"

| | コメント (0) | トラックバック (5)

2018年5月25日 (金)

最近のビスコあれこれ

_20171228_230329
えー、グリコの「ビスコ」の話です。でも昨冬の時点から貯めていたネタだったりするので、今時冬のパッケージがあったりします。そこらはご勘弁を。

まずは『ストロベリーショートケーキ味』です。ウインター・スペシャルです。訳せば、「冬季限定版」ってことですよね。

発酵バター入りです。いいですね。コクが違います。ワンランク上って感じ。ピンクのクリームです。いいですね。これは評価できる商品です。

そして、ファッションブランドの「niko and ・・・」とコラボってます。内側のパッケージがそうなんです。これには恐れ入りやした。

_20171228_230417

いやー、このパッケージの伝統あるイラストを改めてしげしげと見ましたけど、いいっすねー。かわいいし、純真で無垢で健康で、もう子供の模範って感じです。

はっ、ビスコってビスケットの「ビス」に子供の「コ」なのかしらん? 調べてないけど、きっとそんなところでしょう。

Dsc_2460_2

一方こちらは『焼きショコラ』です。見ての通りの焼きショコラです。

ビスケットが真っ黒です。まさかイカスミじゃないでしょうけれど・・・

Dsc_2461

間のクリームもチョコクリームであります。でも全体的に、特においしくはないですねえ。ややほろ苦い大人の味ってところ。

Dsc_2550

で、こっちは最近の「シンバイオティクス」シリーズ2作。シンバイオティクスって、・・・何かシン・ゴジラ的なものでしょうか?? 難しいんですけど、どうも腸に良いものみたいです。一パッケージあたり10億個の乳酸菌が入っているそうです。スゴ過ぎて、なんだかよくわかりませんね。

まずは『さわやかなヨーグルト味』。確かにこの坊やの顔はさわやかです。お味の方も、ヨーグルトがいい感じにさわやかです。悪くありませんね。

ビスケットは通常のものよりグラノーラ的というかフスマ的というか、食物繊維増量でボソボソした感じです。ここが好みの分かれるところでありましょう。

Dsc_2551

そしてもう一つは、『ブルーベリー&ラズベリー味』。うーん、こっちは今一つかなあ。ベリー好きの大江戸にしてみれば、ベリー感控えめ過ぎだと思っちゃいます。もっと思い切ってガンガン行かんかい! (いや、タックルの話じゃなくてですね・・・)             

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月24日 (木)

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」:居心地悪い

362838_007
映画『ザ・スクエア 思いやりの聖域』は、思いやりなどとはほとんど縁がないサティリカル(皮肉)な作品。観ていて「居心地が悪い」し、わざと核心部をはずして描くので、なんかじれったいのです。そんな調子なのに151分もあるので、途中からかなりイライラして来ます。早く終わらないかなーって・・・。

362838_001

まあ考えてみれば、この監督(リューベン・オストルンド)の前作『フレンチアルプスで起きたこと』も、ずらして、はずして、居心地悪い映画でしたもんねえ。ヒューマンなんだかサティリカルなんだかも、ない交ぜの感じで。 こういうちょっと意地悪な感じって(ベルイマンなんかもそうですが)、スウェーデンっぽさってことなんでしょうか?

362838_005

中でも一番イラっとしつつ、いたたまれなかったのは、フォーマルな会食に“モンキーマン”が出現してパフォーマンスを演じる場面。うーん、いやな感じですねー。しかも、粘着質に「たっぷりと」撮るもんだから・・・。 心理学の教材になりそうなシークェンスでした。

362838_004

「現代美術あるある」みたいな感じにもなっていて、土砂の山をお掃除の人が吸い取っちゃって・・・ってところは、笑ったなあ。しかも、その後の対応が・・・! でもあれ、正しい対応ですよね。きっと。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2018年5月23日 (水)

今日の点取占い281

Dsc_2664
アフリカのジャングルでもうじゅう狩をした   10点

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月22日 (火)

「ランペイジ 巨獣大乱闘」:もっと面白くできたはず

363405_003

映画『ランペイジ 巨獣大乱闘』には、おバカな怪獣映画を期待して観に行ったのですが、まあ半分期待通り、半分は期待外れでした。雑で中学生が書いたようなホンなのですが、いまいちバカ映画に徹していないし、映画を面白くする芸が無さすぎるのです。もっと面白くできたよねえ。

大江戸は知らなかったのですが、これ’80年代のアーケード・ゲームが元になっているんですってね。そこに出て来るキャラクターがゴリラ、オオカミ、ワニなので、本作で巨大化するのもそいつらってわけなんですね。

363405_005

そこが不満なところ。もっといろんなものが巨大化して欲しかったです。ゲーム原作ってことで、この3つがメインなのはしょうがないとしても、端役的に虫とか鳥とかが大きくなったやつを出してくれれば良かったのに。往年の東宝怪獣映画なら、そうやっていたはずですよ。

363405_004_2

それにしても、アメリカ人ってゴリラが好きですよねー。そもそもキングコングがそうなんですけど(本作ではキングコングを気にしてか、「白い」ゴリラになってます)。でもゴリラの場合、大きくなっても「怪獣」にはならず、あくまでも巨大ゴリラなんで(形状の変化がないもんで)、怪獣好きとしては、あまり面白くないんですよねー。ワニは形状が大きく変化して、怪獣っぽくなっていたし、オオカミもムササビ入ってましたのにねえ。

363405_007
悪役姉弟がいかにも「B級」な安さを発散しまくっておりました。こういう人たちの最期は・・・、はい、お約束通りで結構でした。

それにしてもドゥウェイン・ジョンソン、えいっ!って力んで拘束バンドを切れちゃうんだったら、最初からそうしなさいよ!

| | コメント (0) | トラックバック (5)

2018年5月21日 (月)

「とよんちのたまご」のバウムクーヘン

Dsc_2580
下北沢などにある「とよんちのたまご」というタマゴ及びタマゴ製品の専門店のバウムクーヘンです。

真っ赤な地色に金箔押しを用いた紙箱が、えらく素敵ですね。インパクトあります。

Dsc_2581

で、色がかなり濃く黄色いのです。写真よりももっと濃い目の黄色って感じでした。 「とよんちのたまご」自慢の「王卵」という最高級卵を使っているからなのでしょう(濃厚でコクがあり黄身の色が濃い卵なんですって)。

Dsc_2582
で、きめの細かい「しっとりタイプ」です。大江戸の好きなバウムクーヘンはハードタイプなのですが、これはしっとりタイプなのに、えらくおいしかったです!! ウマウマウー!です。

とにかく濃いタマゴ感が感じられて、何でしょうか、マーラーカオ(馬拉糕)とかそっち寄りの風味。いやー、タマゴ風味の菓子が好きな人にはたまりませんね。

古典的なバウムクーヘンからは外れた感覚ですが、ここまでうまいのなら、文句のつけようがありませんです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月20日 (日)

「MIFUNE : THE LAST SAMURAI」:ミフネ・ザ・グレート

358515_001映画『MIFUNE : THE LAST SAMURAI』は、2016年制作のアメリカ映画。多くの作品を通して三船敏郎の生涯を綴ったドキュメンタリーです。

実際今日の日本で三船の事を話題にする人ってほとんどいないのですが、こうして見てみると、いやー、やっぱり日本映画史上最大のスターにして、世界に誇れる日本人=サムライなのだなあと、強く感じます。

358515_003
一番最初のパートは、「チャンバラ映画」に関してです。佐藤忠男さんも出て来て、語ります。やはりミフネはサムライだから、そこから語り起こすしかないのです。

若い頃の彼は、彫りが深くて水も滴るいい男ですが、中年以降の彼の堂々たる押し出しと目力、顔力の凄いことと言ったら! まさに、(先進国としての)欧米に対して恥ずかしくない顔であり、唯一無二の俳優でした。

358515_005
特に黒澤明との作品に関しては、本作の中心として深く掘り下げています。『七人の侍』『蜘蛛巣城』『用心棒』『赤ひげ』あたりの作品フッテージに加えて。撮影現場の写真や記録映像も交え、この映画史上最強コンビの凄さを再確認させてくれます(できれば、『野良犬』『生きものの記録』『白痴』『椿三十郎』『天国と地獄』あたりのフッテージも入れて欲しかったなあ)。

358515_007

インタビューに答える人々が豪華です。スピルバーグにスコセッシ、香川京子、八千草薫、司葉子などなど。役所広司がひよっこに見えてしまうほどです。そしてエンドタイトルの最後に、この作品内のインタビュイーとして登場しながら、今は逝去された4人=土屋嘉男、夏木陽介、加藤武、中島春夫の名前が出ます。いやー、いい時に(と言っては語弊がありますが)、というかギリギリのタイミングで作った作品だったのですねえ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月19日 (土)

「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」:ドイヒーでポンコツな人々

362656_002
映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』は、パワフルで怪作に近いんだけど、ギリギリ真っ当に成功しています。ただ語り口はコメディ調のニュアンスを含んでおり、かなり笑えます。それはもちろん悪いことではなく、むしろ作品の魅力です。あくまでもフィクショナルな劇映画ですが、(さもドキュメンタリーのような)インタビュー形式を取り入れたり、演者がカメラ(観客)に向かって話したり、いろんなことをやってくれます。

362656_008

とにかくドイヒーな人、ポンコツな人ばっかり出て来ます。と言うより、そういう環境に生まれ育ち、そこから抜け出すことのできなかったトーニャの悲劇といった物語でもあります。中でも凍り付いた無表情と鬼の心と口汚さとで観る者をも凍り付かせるのがアリソン・ジャネイ演じる毒母! いやー、近寄りたくないなー。娘のトーニャは「被害者」でもあり同情の余地があるのですが、そしてヒゲやデブはただのバカなんですけど、この母親はかなり「諸悪の根源」っぽいですもん。

362656_003
トーニャを演じたマーゴット・ロビーは、本作のプロデューサーも務めておりますが、いやー、見事な演技でした。だって、自分のイメージを落とすほどのひどいキャラクターを見事にひどく(バカで、ゲスで、ビッチで)演じておりました、。ただの美人女優じゃなかったんですね。お見それいたしました。さらには4か月にわたる特訓で、かなり滑れるようになったというスケート場面の見事さ! 彼女自身が滑れていることが、作品の力となっています。そしてスケートをダイナミックに捉えたこのキャメラの見事さ! テレビで見るフィギュアとは全然違うハードでパワフルなスポーツの迫力がバッチリ出ておりました。

362656_004
(以降ややネタバレあり) あの「事件」の顛末にも唖然としましたが、その後に訪れるボクサーに転身した彼女の試合場面が効いています。そこにある屈辱、怒り、悲哀、強さ、諦念・・・そういった複雑な感情が、観ているこちらにも迫って来ました。それでも、人生ってもんは続くんだなあ。

| | コメント (3) | トラックバック (3)

2018年5月18日 (金)

銀座ウエストのエンゼルケーキ

_20180430_111709
大江戸の大好きなバタークリームケーキの話が続きますが、こちらは銀座ウエストの『エンゼルケーキ』です。銀座の本店で求めました。

もう老舗のトラッドな銘品というしかないお姿ですね。エンゼルケーキというネーミングも、王道な感じでよろしいではありませんか。

_20180430_111755

うーん、薄いバタークリームの層が4本のラインになって、陸上トラックの様でもあり、目の字のようでもあります。で、上部はアプリコットジャム、下部はハードタイプのパイ生地、そして側面はクランブルっていうんでしょうか、あのザクザクしたやつがついてます。もちろんクランブルの下にはバタークリームです。

バタークリームの層は薄いのですが、味はしっかりと感じられます。ちょっとしょっぱくてね。でも、大江戸の好きなタイプはもっとがっちりと分厚いバタークリームの層があって、その噛み心地も楽しめるやつ。そこが残念。

それにしてもアプリコットジャムが入ると、とたんに「昔のケーキ」的なニュアンスが出て来ますねー。あら不思議。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月17日 (木)

モーツァルト(広島)のケーク・オ・ブール

Dsc_2638先日は九州北部の名品、VISAVIS(ヴィザヴィ)の『特撰バターケーキ』を紹介しましたが、今日のもそれとよく似た商品です。

(ヴィザヴィのバターケーキはこちら↓)

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-5a52.html

広島は「モーツァルト」というケーキ屋さんの『ケーク・オ・ブール』。愛しのバタークリーム・ケーキです。地元広島のバターを使っているそうです。

Dsc_2639

ん? この銀紙、どっかで見たような、というかヴィザヴィのやつと同じスタイルですね。外見もろにバターってタイプです。そうです。バタークリームでたっぷりと覆われているのです。

生地の中にはたっぷりのアーモンドが入っているのだそうです。

Dsc_2640

そして、この断面が違う所。スポンジの間のクリーム層がこちら(モーツァルト)は一段ですが、ヴィザヴィは二段です。そして、こちらは3層(かな?)に分かれて、スポンジの間にアンズジャムが入ってますが、ヴィザヴィのには、こういう層はありません。

つまり、よりシンプルにクリームだけで勝負なのがヴィザヴィ、アンズジャムで古典的なバタークリームケーキ感を醸しているのが、モーツァルトなのですね。バタークリームはやはりかなりの塩気(むしろバター風味)があります。

どちらが好きかはお好み次第かも知れませんが、小生はシンプルに素材の良さで勝負するヴィザヴィに軍配を挙げる者であります。あのクリームは絶品ですから。ショートニングを使ってるってのも、モーツァルトのマイナス点ですね。

ま、でもアマゾンなんかの通販で簡単に手に入るのが、とってもありがたい時代なのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月16日 (水)

のん のアルバム『スーパーヒーローズ』

Dsc_2649
5月9日にリリースされたばかりの「のん」のファースト・アルバム『スーパーヒーローズ』。小生は48分のDVD『のんと音楽』がついているバージョンを買いました。

全12曲。5月8日の渋谷クアトロでのライブでも披露していたあの曲、この曲が入ってます。既にシングルとして出ている『スーパーヒーローになりたい』や『RUN!!!』も入ってます。 また12曲中5曲がのんの作詞作曲です! のんって、もともとのおっとりほんわかしたイメージとは逆に、パンクなんです。作る曲も基本タイトなパンクロックです。

シングルカットされたのは矢野顕子作詞作曲の『わたしはベイビー』。これはスローなナンバーで、あっこちゃん節ですが、実に名曲です。 (公式MVはこちら↓)

https://www.youtube.com/watch?v=NQTrVh9T8cA

矢野さんをはじめ、高橋幸宏、尾崎亜美、高野寛、大友良英、真島昌利といった面々が、楽曲を提供しています。以前には、仲井戸<CHABO>麗市、鈴木慶一あたりも協力してくれてましたもんね。すごいぞ、のんちゃん!人望だ。

ヴォーカルもしっかりと個性を出していて、いいんですよねー。『あまちゃん』で歌った時には(CDも買ったけど)えらくヘタで、「音痴?」と思ったものでしたが、いやー、こうなるとは思いませんでした。ロック絶唱の時もいいんだけど、スローなナンバーの時も声の純粋さが生きて、いいんですよねー。

DVDを見ると、大御所ミュージシャンの方々が声を揃えて、「(彼女の)ギターがいい!」と称賛しているのです。カッティングやリズムが良くてカッコイイとおっしゃってます。素晴らしいぞ、のん! このDVDがまた素敵でして、レコーディングやライブ、そして本人や周りの人々のインタビューを通して、のんの音楽および「あーちすと」活動に迫るものです。音楽家としての「のん」は、本物です。まずは9.30の日比谷野音で、伝説を作ってくれることでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月15日 (火)

「オー・ルーシー!」:悪意と暴走の困ったちゃん

361679_008_2
映画『オー・ルーシー!』は、予告編を見た限りでは、異文化ギャップや中年女性の冒険や恋愛を描いた軽めのコメディって印象だったのですが、本編を観てみるとさにあらず。結構ブラックな場面も多くて、観終わったらなんだか嫌な気持ちになるような作品なのでありました。金髪カーリーヘアのウィッグをつけてオレンジのピンポン玉を加えた寺島しのぶのポスター・ビジュアルも、楽しそうだったのにね。そもそも『オー・ルーシー!』なんてタイトルつけたら、楽しくなきゃサギですよね。

361679_001_2

寺島演じる主人公の節子さん(ルーシー)がかなりとんでもないキャラで、定年退職した先輩の送別会で(酒に酔ってもいないのに)とんでもなく悪意に満ちたブチ壊し発言をしちゃったり。英会話教室に対しても、クレイマー的にいちゃもんをつけるし。アメリカに渡ってからも、相手の気持ちを全く無視して、恋の暴走を繰り広げるし。恋に関しては「免疫」が無かった人なのでしょうけれど、いやー、とにかくかなり困ったお方です。

361679_010

節子の姉を演じる南果歩も、相当にイジワルで失礼な女でありまして、常に機嫌の悪いオーラを発していて・・・まあ、関わり合いたくない姉妹なのです。

終盤で忽那汐里の身に起こる出来事とか、その結果の描写とかも、驚くほどブラック。一体、この監督(平栁敦子)、何を描きたかったの?と心配になってしまいます。

361679_007
せっかくの役所広司も、ほとんど生きておりませんね。言っちゃあなんですけど、彼がやらずとも他の役者でできちゃう役。だから観てる方としては、物足りなくてしょうがありません。特に『孤狼の血』の役所さんにノックアウトされた直後でもありましたので・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2018年5月14日 (月)

「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」:「妖怪大戦争」なの?

361806_001
映画『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』を褒める人は大勢いらっしゃるようですが、小生は全然ダメでした。ひたすら眠くて、ヒーローたちが格闘している間に睡魔と格闘してました(睡眠不足だったのかというと、その後に観た『孤狼の血』は全然眠くならなかったので、そういうことではないと思います)。あれだけ全編にわたってドンパチと激しいアクション&バトルが繰り広げられるのに、みんな同じような描写で、しかも延々とやるもんだから、観ていて飽きてしまうのです。

361806_002

しかも2時間30分もある作品なのに、サノスのストーリーの他は、マーヴェル・ヒーローそれぞれに割り振った出番が交互に巡って行くのですが、これが(そう言っては身も蓋もありませんが)あってもなくてもいいようなエピソードばかりなので、MCU(マーヴェル・シネマティック・ユニヴァース)への思い入れがない大江戸としては、最終盤まで物語に入れませんでした(入ろうとしても、長ーいアクション&バトルに分断されてしまうのです)。

361806_005
(以降ネタバレあり) ただ、サノスのストーンが揃って以降は、にわかに(と言っても、終わり近くなのですが)面白くなります。そして、あの「終末の始まり」の風景。これはなかなか凄かったです。諸行無常感というか、むしろ人間の命のはかなさを表現し、誰でもいつか死ぬんだという事実をヴィジュアルに突きつけて来るのでありました(エンドタイトル後のシーンも含めて)。

361806_003

エンディングでは、「ここで終わりですかい?」と思ったのですが、これ完結編的二部作の前編的な作品なんですってね。となると、やっぱり続きを観ちゃうんでしょうねえ、一応。

それにしてもサノスって、『妖怪大戦争』('68)のダイモンって趣きですね。はっ、そう考えると、ダイモンに挑む日本の妖怪チームはアベンジャーズってわけですね。なるほど納得。

| | コメント (0) | トラックバック (5)

2018年5月13日 (日)

「サバービコン 仮面を被った街」:トランプへの怒りと・・・

363640_002
映画『サバービコン 仮面を被った街』は、ジョージ・クルーニー監督作品ですが、脚本がコーエン兄弟らってことで、実にコーエン兄弟テイストの作品。またそこに、コーエン兄弟が敬愛するヒッチコックのテイストも含まれておりまして、予告編を見た感じだとシニカルなブラックコメディだろうと思っていたのですが、だいぶシリアス寄りの作品でした。

363640_004
本作を通して、リベラル派のクルーニーが声を大にしてぶち上げているメッセージは、ドナルド・トランプ批判。「古き良きアメリカ」とか「輝いていた強いアメリカ」とか言っても、その実態はこういう代物だったんですよ、強烈な人種差別にまみれた、とんでもない時代だったんですよ、と訴えています。確かにこの映画で描かれている白人中産階級層の言動を今の尺度で見ていると、むかつくことばかりです。

363640_008

美しい郊外の街の一皮下の醜さ、異常さをダーク・ファンタジーとして描いたのが、デイヴィッド・リンチの『ブルー・ベルベット』だとしたら、本作はシニカルなサスペンス・ミステリーとして描いております。 完璧な時代再現(衣装、美術、ヘアメイク)と、名手カイル・クーパーによるメインタイトルの、いわゆる「古き良きアメリカ」も効いています。それ以上に効いているのは、子供の使い方でしょう。

363640_007_2

(以降ネタバレあり) 汚れ切った(白人の)大人たちとの対比で、子供のイノセンスが生きて来ます。ラストなんか、ちょっと涙腺に来るぐらい感動的なシーンでした。そしてカメラが引けば、延々と続く(隔てるために作られた)柵。その柵を越えて続くキャッチボール。まさに、「メキシコ国境に壁を作る」とかのたまっている大統領への怒りのメッセージではありませんか。クルーニーのこういう所、好きだなあ。そして、美しいラストシーンだなあ。

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2018年5月12日 (土)

「孤狼の血」:お家芸復活

361822_001
映画『孤狼の血』は、オープニングに出る古典的波濤三角マークがめっぽう似合います。東映は、1994年の『首領(ドン)を殺(と)った男』公開の際に「最後のヤクザ映画」と銘打っており、確かにその後真っ当な(?)ヤクザ映画は作っていないと思います(その代わり、Vシネマではバンバンやってましたけど)。つまり満を持して、24年ぶりのお家芸復活といったところです。

361822_002
メインタイトルのブルーがかったモノクロ写真に赤文字縦書きで役者名がかぶるあたり、まるで’70年代の東映実録路線の感覚。全編にわたって、本家東映ならではのえぐい色あいが感じられます。監督が(まさに適任の)白石和彌だけあって、極悪&ハードな描写の数々で、ぐいぐいと引っ張っていきます。いやー、キラキラ映画ばかり増えて、ヤワになり過ぎている日本の映画界だけに、こういうもんも復活していただきたいと思います。清濁併せ吞む、ってことで・・・。

361822_005
ヤバイおっさん役には定評のある役所広司が、今回もタガがはずれちゃってて、ヤバ過ぎです。あとは、松坂桃李は別として、実にヤクザ顔の面々を集めましたね。音尾琢真なんて、世が世ならピラニア軍団の顔ですもんねえ。ただ、江口洋介だけはいくら力んでも迫力不足で、とてもヤクザの幹部とは思えません。場違い感たっぷり。これ、役名が「一ノ瀬守孝(モリタカ)」だからっていうんでキャスティングしちゃったのかしらん?

松坂桃李の成長物語にもなっているのですが、終盤の彼がらみのシーンはなかなか良かったですね。そして彼と絡む阿部純子も、女優としてだいぶ良くなってきました。

361822_015

これを機に、年に1本とか半年に1本でいいから、東映のヤクザ映画が復活ってことになってほしいですね。暴対法でヤクザがすっかり弱体化しているという昨今ですが、やはりこれは伝統芸能みたいなもんなんだから。(もちろん本物のヤクザとは絶対お近づきになりたくないですが)スクリーン越しに観る分には安全なんだから。そして、若い人々に「ヤクザって、ほんとにコワイもんなんだなあ」とわからせる教育的効果もあると思うんですけどねえ。

| | コメント (0) | トラックバック (9)

2018年5月11日 (金)

「俺の・・・」の小倉&バターサンド

_20180430_111422
恵比寿や銀座に次ぎ、先ごろ新宿の京王線駅そばの地下街(京王モール)にオープンした「俺のベーカリー&カフェ」。

そこの「小倉と有塩バターのサンドイッチ」(680円)がめっちゃウマイのです!

ウマウマウー!((c)小野瀬雅生 of CKB

_20180430_111258

箱の中に3切れというか、それが更に二つにカットされているので、6切れ入りです。

これがどうにも迫力満点。写真をご覧ください。

_20180430_111230_2

質の高い粒あんがぎっしりというか、ずっしり。持ってみた時の重みで、ずっしり感がわかります。更にバターの延べ板(?)がしっかりと入っておりまして、それはもうガツンとうまいのです。

バターの塩分が「スイカに塩」「おしるこに塩」的効果となっているので、あんこの甘さが引き立ちます。これは良いです。

でも、胃袋にもかなりずっしりと来るので、これ半分(3切れ)をおやつに食べちゃったら、夕食時にもまったくお腹がすきませんでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月10日 (木)

佐藤卓「MASS」展@銀座・奥野ビル

_20180510_221207
久々に銀座1丁目のレトロ建築・奥野ビルへ行きました。

3FとB1のギャラリー「巷房」で開催中の佐藤卓さんの展覧会『MASS』を観るためです。

グラフィックを中心としたデザイナー、アートディレクターの佐藤さんですが、時々こういう現代アート的な表現も発信しています。

いいですねえ、この奥野ビルの外観。

_20180510_221229

エレベーターがまたスゴイんです。外側の木製の扉と、内側の鉄製の扉を手で開けるスタイル。降りたらまた、その二つを手で絞めねばなりません。うわ、たのしい。

_20180510_221402
展覧会タイトルの“MASS”とは、「大量」を意味する言葉。「マスコミ」や「マスゲーム」の「マス」ですね。 どうもこの展覧会においては「大量生産品」(マス・プロダクツ)を意味しているようです。

_20180510_221308

で・・・、なんだこりゃ?ですよね。3Fから観ていくのが正解でしょう。

_20180510_221340カメラのレンズみたいな機械感覚もあり、真ん中の変な形のものが生物的で、おかしくもなまめかしくもあります。

_20180510_221449
B1会場に行くと、ああ、そういうことですか。種明かしですね。

チューブから絞り出された中身がてろんと、出かかっている。そんな様子なのでありました。

比較する物がないのでわかりにくいけど、とにかくこのチューブがでかいんですよ。大男ぐらいのサイズでしょうか。妙にでかくて、笑っちゃいます。これと較べても3Fのやつの方が、更にでかいんですけどね。

_20180510_221433
で、最後の部屋にはでかい水滴のようなもの。これまた比較する物がありませんが、直径2-30cmでしょうか(小さいのは10cmぐらい)。

材質はガラスだと思いますが、その他のチューブてろん系の作品とは趣が違いますね。アメリカに対して日本、みたいな・・・。枯山水的な静謐を感じさせます。

なぜこれがMASSなんでしょう? うーむ。 禅のようであります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月 9日 (水)

「君の名前で僕を呼んで』」:ジェイムズ・アイヴォリーらしさ

362606_007_2
映画『君の名前で僕を呼んで』の脚色とプロデュースは、ジェイムズ・アイヴォリー。まだ活動してたんですね。いかにも彼らしい文学の香気とある種の格調を漂わせた映画です。まあ男同士の愛情物語ってところも、彼らしいのですが。彼としても、ようやく自分の作りたいこういう作品を作って、高く評価してもらえる時代になったということなのでしょうね。

362606_005
(行ったことはないけれど)イタリアの避暑地の風を感じる映像です。撮影監督はサヨムプー・ムックディプロームというタイ人。なんと、アピチャッポン・ウィーラセタクンの『ブンミおじさんんの森』を撮った人なのでした。確かに独特ですが、素晴らしく気持ちの良い映像です。避暑地の陽光、暑さと涼しさ、街の風と田舎の風、そういったものをいちいち感じさせてくれるのです。そして、色彩が気持ちいいのです。

362606_002_2

青くさいガキのめんどくささを存分に放射しているティモシー・シャラメ。そして、アイヴォリー作品にふさわしい彫刻のような美男子ぶりのアーミー・ハマー。この二人のコンビネーションは、かなりスリリングであり、かつほほえましくもあります。

362606_008

でもまあ、本作のキモはラスト近くにある少年と父との会話(と言うよりは、ほとんど父の独白)シーンでしょう。ここらにもアイヴォリーの影を見る思いがします。稀有な父親ですね。

ただ根本的に、「君の名前で僕を呼ぶ」ことが愛情表現であるって感覚が、どうにもピンと来ないのです。うーん、理解できないー。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2018年5月 8日 (火)

のんシガレッツのファースト・ライブ♪!

_20180508_184345
渋谷クアトロで、「のんシガレッツ ファースト・ライブ」! 仕事帰りに、カジュアルに着替えて参戦です。

ファースト・ライブと言っても、正しくは「ファースト・ワンマンライブ」。他のフェスへの参加や、昨年末の(大江戸も観た)「のんフェス」とかはありましたからね。 その記事はこちら↓

http://oedo-tokio.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/post-736d.html

10分押しでスタート。そこからアンコールを含め93分を駆け抜けたバリバリのロック・ライブでした。SOLD OUTの会場は、スタンディングの牛ぎゅう詰め。でも小生は比較的前の方で、6m位先にのんがいる状態でした。とはいえ、前の人の頭が邪魔になって見えたりみえなかったりというのは(前の人より小生の方が背が高いのですが)この手のライブの常。手拍子すら満足にできず、なんか揺れている状態でした。それにしても、のんのライブって、結構シニア男性率高いですねえ。

基本パンキッシュなタイトでソリッドなサウンド。のんのギター&ヴォーカルも、年末に観た時よりも堂に入っておりました。シガレッツのメンバーも、更に上達していたようで、演奏に関しては相当に立派なものでした。っていうか、のんのロッカーとしての腰の据え方が見事にビンビンと感じられ、タレント芸などではにことを十分に証明しておりました。

バンドのギタリストがなぜか欠席ということで、KIRINJIの女性ギタリスト弓木英梨乃さんがリードを取っておりました。そして、ゲストは高野寛さんと大友良英さん。のんのファーストシングルとセカンドシングル曲の作者です。2曲ずつとMCで楽しませてくれました。のんは基本脱力系MCで、ヘタ(スリリングとも言う)なんですけど、この人たちに助けられましたね。そして(当たり前だけど)二人ともギターがめっちゃうまい!

_20180508_222754
ほぼロックで押し切り、バラードは3曲ぐらい。アンコールは用意してなかったってことで、会場リクエストにより、『へーんなのっ』を再度演奏。アンコールに入る前には、この夏全国5大都市ツアーが行われ、ファイナルは日比谷野音!との発表もありました。野音といえば、小生にはRCサクセションなどが思い出されるのですが、キヨシロー好き、RC好きののんさんにふさわしい舞台ですね。

_20180508_224131

あと、まもなくパルコのプロモーションのポスターにのんさんが使われることがわかりましたし、そもそも今日のライブはのんの展覧会の最終日に合わせてますし、明日はファースト・アルバムの発売日ですし、・・・いやー、ノッてますねえ。

帰りにはこんなステッカーを配っておりました。いやー、これからもみんなでのんさんを応援しようではありませんか。「大人の事情」になんか負けるな!(それこそがロックだ!)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月 7日 (月)

「リズと青い鳥」:美しさと静けさと「もののあはれ」

360845_014
映画『リズと青い鳥』は、『けいおん!』『たまこラブストーリー』『聲の形』の山田尚子監督だってことで、楽しみに観に行きました。TVのアニメシリーズが大もとだってことすら直前まで知らなかったのですが、「イチゲンさんでも大丈夫」との情報を得て、安心して赴きました。

360845_004

とにかくひたすら繊細です。淡く優しい光に満ちた絵作りもそうですが、それ以上に、この映画で描かれている「ニュアンス」が繊細なのです。少女の心情の揺らぎ、言葉にできない思い、そういったものを丁寧に掬い取って、アニメーションならではの繊細なコントロールで表現している作品です。

360845_007
そして、この映画に描かれているすべてが美しいのです。美しくないものは周到に排除されていると言っていいかも知れません。「少女なんて、そんなに美しいもんじゃないよ」とおっしゃる向きもあるかと思います。また、男がこういうものを創ると、「それは男目線の幻想」とか言われがちです。その点、本作は原作(武田綾乃)、脚本(吉田玲子)、監督(山田尚子)が三人とも女性なので、心強いものがあります。こういう世界があったっていいじゃないですか。

360845_001

静かです。そして台詞の間にたっぷりと間(ま)があります。観客にたっぷりと想像する間を与える、すなわち主人公たちと同化させてしまうのです。こうすることで、立ち上って来る心情や、「もののあはれ」があるのです。松竹配給、京アニ製作のメジャー作で、そこに挑んだ山田監督は、評価に値すべきだと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2018年5月 6日 (日)

湘南、仙台にがっかりな敗戦

Rscn2709_convert_20180506232400

今日はゴールデンウィークの最後を締めくくるJリーグの試合ってことで、BMWスタジアムの湘南vs仙台戦へ。選手入場時のスタンドのコレオグラフィーは黄緑、青、白のベルマーレ・カラーで美しかったのですが、結果は1-3と湘南の敗戦でした。 鹿島やガンバや浦和といった古豪に勝っても、柏や仙台という「格」が近いんじゃね?的なチームには勝てないので、順位が上がりませんねえ。

_20180506_170209_2

最近は試合の入りが悪いベルマーレ。今日も3分にあらあらあらと見てる間に先制されてしまいました。それ以外でも前半はベガルタに攻められて、良い所が少な過ぎました。ベガルタのプレスにミスを誘われたり、こっちのプレスは距離があって、かかってなかったりと、かなりじれったい感じ。前半だけでPKを2本も取られるって、いったいどういうつもりですか?不注意過ぎます(まあ、こっちも後半に「お返し」的に1本もらいましたけど)。

 

_20180506_170238

後半は攻めまくってる時間帯がかなり長かったにも拘わらず点を取ることができず(PK以外は)、その上同点を目指して前がかりになっていたアディショナルタイムにカウンターで持ち込んだ仙台の西村にやられてしまい、1-3と敗戦を決定的にしてしまったのです。

_20180506_170105

後半に秋野の目の覚めるようなミドルがあったのですが、惜しくもサイドネットでした。あれが入っていればなあ・・・。それ以外にもスクランブル状態の決定機を何度も決めきれずで、うーん、うまくいかないなあって感じの、がっかりな試合でした。 前半だけで退いた大野が相変わらず良くないし、後半途中からの梅崎はいつ出ても大したことない状態が続いています。うーん、悩みが深いですねえ。

Rscn2708_convert_20180506232223
今日のキングベル&ベルマーレクイーンたちは、勝利のダンスおあずけ。連休最後でお客さんも結構入ったのに、なんともはやです。

Rscn2706_convert_20180506232113_2

また、「マジカルマジカル」というアイドルの3人組さん(6/13デビューなのだそうですが、これって、実質もうデビューしてるじゃん)が試合前やハーフタイムに歌を披露してくれました。

_20180506_183808

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月 5日 (土)

「建築の日本展」@森美術館、そして・・・

_20180505_221119
六本木ヒルズの森美術館で開催中の『建築の日本展 その遺伝子のもたらすもの』(~9/17)を観ました。

これ、英語タイトルの“Japan in Architecture”の方がわかりやすいですね。つまり、古今の建築を通して、日本とは何なのかを探求する試み。

会場は9つの章に分かれていて、木造、シンプルさ、屋根、工芸、空間、折衷、集合、外国人の視点、自然との共生といった「日本らしさ」を建築の実例から解き明かしていきます。

Dsc_2617

何ヶ所か撮影OKポイントもあったのですが、この正倉院や桂離宮を思わせる高床建築は、1953年築(現存せず)の丹下健三自邸。冬は寒そうです(まあ、それが古来の日本建築ってもんですが)。

_20180505_220521
そして会場内に原寸大で再現された国宝・待庵! 利休を象徴する傑作、あの二畳の茶室です。並んで待てば入れるというので、「これは待つしかないでしょ!」(待庵だし)と、体験してみました。内部は撮影NGですが、展覧会場内の仮設、いわばレプリカとはいえ、ちょと感動しました。

_20180505_220550

よく聞くように、「狭さを感じない」造りでしたし、躙(にじ)り口も想像したほどちいさいものではありませんでした。

また会場内の暗室では、体験型3Dインスタレーションを上映していて、これが実に新しかったです。正面からもサイドからも、見ることが出来る3D映像による日本建築内部の紹介。つまりサイズ感と位置関係をリアルに見て取れるのです。このシステムって、建築に限らず今後の展覧会で流行するかもって気がします。

知ってる建築も知らない建築も取り交ぜて、古代出雲大社、会津さざえ堂から、旧帝国ホテルやオリンピック競技場を経て、近年の水の教会や鈴木大拙館まで、日本建築のモニュメンタルな傑作を概観できる、素晴らしい企画でありました。

_20180505_190925
会場を出れば、これは特に「日本的建築」とは言えなさそうですが、展望台からの東京タワー。やはりこの赤が効いてるんですよねー、コンクリートとガラスの中で。

_20180505_191025

そして新宿の高層ビル群の向こうには、夕日とマジックアワーの西の空。

Dsc_2626

今、六本木ヒルズは壁や柱など至る所が、カラフルなニットでおおわれています。 アーティストのマグダ・セイエグさんによるアート・プロジェクトなのだそうです。なんかかわいく変容しておりますよ。

Dsc_2625

、ルイーズ・ブルジョワによる蜘蛛の彫刻「ママン」もこの通り。いつものおどろおどろしさは消えて、とってもキュートになっちゃってました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月 4日 (金)

「レディ・プレイヤー1」:おじさん歓喜!?

362706_004
映画『レディ・プレイヤー1』は、70歳のスピルバーグがこんな若い映画撮りましたかー、って感じ。もちろん一方では、さすがにスピルバーグというクォリティの高さや演出の巧さはあるのですが、普通70歳になったらこんな映画作りませんって。でもそれを作ったっていうのは、このバーチャル世界の創造主=ハリデーさんと、自分を重ね合わせる所があったからなんでしょうねえ。実際、メガネで長髪のこの優しそうな人とスピルバーグの風貌は、なんか似ています(これを演じているのがマーク・ライランスだと、エンドタイトルで知ってびっくり。どっかで見たような顔だと思っていたのですが、長髪に騙されました)。

362706_002

CGIを駆使したバーチャル世界内の映像が大半を占めるのですが、まあ派手で密度が高くて、情報量がたっぷり。音楽を含めて1980年代のポップカルチャーへのオタク的言及がたっぷりです。これ、若い層よりもおじさんたちが盛り上がるんじゃないでしょうか?

大江戸が一番気に入ったのは、キューブリックの『シャイニング』の引用。いやー、ゲーム化された『シャイニング』世界が実に楽しかったです。

362706_009

ジャパニーズ・ポップカルチャーからの引用も多く、『AKIRA』のバイクだとか、メカゴジラだとか(そこにかぶさる音楽は、伊福部昭の『ゴジラのテーマ』!)、ガンダムだとか・・・三船敏郎リスペクトやゴジラのフィギュア(最後の方でテレビの上にあった)まで出て来ました。

362706_010

まあでも、大江戸はそんなにこの作品に熱狂したわけではありません。ガチャガチャと騒々し過ぎるきらいがありますし、何と言っても主人公の少年の顔が嫌ですねえ。『ダンケルク』や『聖なる鹿殺し』のバリー・コーガンかと思ったら別の人でした(タイ・シェリダン)。それにしても似てますね。

ラストに教訓めいたメッセージがあるのが、いかにもスピルバーグ。好きですよ、小生はそういうの。

| | コメント (0) | トラックバック (9)

2018年5月 3日 (木)

「ジェイン・ジェイコブズ -ニューヨーク都市計画革命-」:ちょっと一方的だけど

363346_001
映画『ジェイン・ジェイコブズ -ニューヨーク都市計画革命-』は、現代東京の視点から見ても、非常に興味深く示唆に富んだドキュメンタリー。現代は“Citizen Jane : Battle for the City”。言うまでもなく『市民ケーン』(Citizen Kane)のもじりであります。そして「市民」ってところが大事なのです。ニューヨーク市民、住民の力の大きさを描いた作品なのですから。

363346_004

ジェインの長きにわたる活動は、ほぼ「都市開発の帝王」として君臨した建築家ロバート・モーゼスとの闘争。近代的都市計画を推進しようとするモーゼスに対し、「ル・コルビュジエの思想を誤解した」などと一歩も引かずに、市民、住民たちを巻き込んで反対し、裁判を起こし、そして勝訴を勝ち取るジェイン。アメリカの司法は行政に配慮し過ぎずに、あくまでも民を尊重しているようで、さすがだなあと思わざるを得ません。

363346_002
映画の中で、モーゼス側が推進した高層の団地がいかに大失敗であったかを丁寧に解き明かしています。これを見てると、確かにそうだよなあ、団地は非人間的で多くの危険をはらみ、十年もたたずにスラム化するものなんだなあと納得せざるを得ません。最後の方で、中国の団地が20世紀アメリカの比じゃないほどスゴイことになっている光景を見ると、本当にぞっとします。どうなっちゃうんだろう、あれ。

363346_003
高層団地の模型を横に倒して、「こうすれば2階建てぐらいの高さになる」と言っている人には、「おお!」と思わされました。なるほど。でも日本だと、そこまで建物の間の空間が広くないので、そうはできないのでしょうけれど・・・。

でもこの作品は、一方的にジェインの側に立ったもの。モーゼスのやった事だって、全てがダメだったわけじゃないと思うんですよね。もう少しニュートラルな視線も入れといた方が、より深い作品になったんじゃないでしょうかねえ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月 2日 (水)

「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱」:「ジェンカ」で世界平和??

362195_004
映画『クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱』は、まあいつものしんちゃん映画なのですが(いつものタイトルの長さでもあります)、今回の出来はイマイチ。

序盤がテンポ良く順調なのはいつも通りと言えますが、中盤以降がかったるくて、1時間44分がえらく長く感じられました。失敗した時のしんちゃん映画って、いつもそうです。GWで劇場に来ていた子供たちも、中盤以降はちょっと飽きていたみたい。

362195_002
タイトルに「拉麺」と入りながら、ラーメンが物語上で生きて来るか?と言ったら、そんなことはないですし、同じく「カンフー」と入っていても、終盤のアクションにカンフーがどれだけ有効に使われるかと言うと、それほどでもないんですよねー。むしろおしりプリプリーの踊り(?)の方が大いに目立っちゃってます。まあ、それだからこそ「しんちゃん」なのですが・・・。

362195_005

今回の一方の主役は、おにぎり頭の「まさお君」。いつもとは違う頼もしさで登場しながら、結局はいつものまさお君に戻ってしまうのですが、彼もまあ彼なりに悩みがあるようです。てか、必要以上に悩むタイプ。

今回は悪役が魅力的じゃなかったし、強さも悪さもたいしたことなくて、そこが作品の弱さにもつながっています。

362195_003_2

終盤には、「正義」の問題(主観的な正義、行き過ぎた「一方的な正義」)に踏み込んでいき、そのあたりタイムリーではあるのですが、それもこれも『ジェンカ』(しかも橋幸夫ボーカル・バージョン)で解決!って・・・、ちょっと安直すぎやしませんかねえ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年5月 1日 (火)

「いぬやしき」:ハリウッド・レベルのVFX

362464_012
映画『いぬやしき』は、予告編の段階でVFXスゲーなと思っていましたが、想像以上でした。ここまでのクォリティなら、ハリウッドに対抗できますね。てか、小生がアメリカ人で、東洋の小国のこんな映画でジジイが空飛んでたら、(好事家マインドをくすぐられて)大喜びしてしまいそうです。

362464_003_2

物語は良いテンポでどんどん進んでいきますし、多くの先行作品からのインスパイアも受けております。ガンを宣告されてから、「良く生きる」ことに目覚める主人公は、黒澤明の『生きる』ですし、終盤の新宿ビル屋上の二人は、『太陽を盗んだ男』の沢田研二と菅原文太のようでした。そもそも大友克洋の『童夢』も結構影響を与えているような気がしますしね。

362464_009

とにかく新宿上空の飛行バトルやビル破壊は、レベル高いっす。『パシフィック・リム アップライジング』(の変な東京破壊)より、よっぽど凄いっす。実写映像の多用と繊細な加工が、生きてます。そしてカットごとの構図がセンス良いんですよねー。もちろんカットつなぎも的確で、描写力あり。佐藤信介監督って、便利屋娯楽職人的イメージが強い人ですけど、(少なくとも本作では)いい仕事してますよー。

362464_008
新宿バルト9のビルや、新宿ピカデリーの脇が出て来たのは、上映館への目配せ??(でもTOHOシネマズ新宿は出て来て無かったと思うのですが・・・)。

物語自体はひねりもなく、素直過ぎるぐらいの「嫌われてるダメオヤジ→だけど、スーパーな正義の味方だった→カッコ良くめでたしめでたし」パターン(まあ、原作ものだから・・・)。 ラストを見る限り、続編がありそうなので、期待しておきましょう。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

« 2018年4月 | トップページ | 2018年6月 »