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2018年5月 7日 (月)

「リズと青い鳥」:美しさと静けさと「もののあはれ」

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映画『リズと青い鳥』は、『けいおん!』『たまこラブストーリー』『聲の形』の山田尚子監督だってことで、楽しみに観に行きました。TVのアニメシリーズが大もとだってことすら直前まで知らなかったのですが、「イチゲンさんでも大丈夫」との情報を得て、安心して赴きました。

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とにかくひたすら繊細です。淡く優しい光に満ちた絵作りもそうですが、それ以上に、この映画で描かれている「ニュアンス」が繊細なのです。少女の心情の揺らぎ、言葉にできない思い、そういったものを丁寧に掬い取って、アニメーションならではの繊細なコントロールで表現している作品です。

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そして、この映画に描かれているすべてが美しいのです。美しくないものは周到に排除されていると言っていいかも知れません。「少女なんて、そんなに美しいもんじゃないよ」とおっしゃる向きもあるかと思います。また、男がこういうものを創ると、「それは男目線の幻想」とか言われがちです。その点、本作は原作(武田綾乃)、脚本(吉田玲子)、監督(山田尚子)が三人とも女性なので、心強いものがあります。こういう世界があったっていいじゃないですか。

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静かです。そして台詞の間にたっぷりと間(ま)があります。観客にたっぷりと想像する間を与える、すなわち主人公たちと同化させてしまうのです。こうすることで、立ち上って来る心情や、「もののあはれ」があるのです。松竹配給、京アニ製作のメジャー作で、そこに挑んだ山田監督は、評価に値すべきだと思います。

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» 吹奏楽女子に告ぐ。「リズと青い鳥」は絶対、ぜーったいに観るべし! [エンターテイメント日誌 ]
評価:A 公式サイトはこちら。京都アニメーション(以下、京アニと略す)「響け! [続きを読む]

受信: 2018年5月 8日 (火) 06時07分

» リズと青い鳥・・・・・評価額1750円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
本当に愛しているからこそ。 ちょっと何度か鳥肌が立った。 31歳の若さで、傑作「聲の形」をものにした、山田尚子の進化が止まらない。 高校の吹奏楽部でオーボエを演奏するみぞれと、彼女の親友でフルート奏者の希美。 彼女らは高校最後のコンクールの自由曲で、童話を元にした「リズと青い鳥」という楽曲の、掛け合いのソロパートを担当することになるのだが、みぞれは童話の主人公の行動がどうしても理...... [続きを読む]

受信: 2018年5月 9日 (水) 20時54分

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受信: 2018年5月11日 (金) 08時41分

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