「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」:ちょっぴり天国と地獄
映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』は、いわゆる社会派なんですけど、社会派然とせずに、アメリカのお菓子みたいな色彩の中でラフにタフに育つ子供たちを、そしてその若い母親の苦戦ぶりを追っていきます。そこから隠れホームレスの問題が、リアルに浮かび上がって来るのです。
それにしてもドキュメンタリーと見まごうほどにリアルな(子供たちをはじめとする)、登場事物たちの演技です。ウィレム・デフォー以外ほぼ素人みたいなキャスティングなので、それによってリアル感が増していることも確かですが、まあそこらはショーン・ベイカー監督の持ち味なんでしょうねえ。
で、アカデミー助演男優賞にもノミネートされたウィレム・デフォーがいいんですよねー。あんた、いい人だ。
6歳の女の子ムーニーとそのビッチな母親が、これまた奇蹟的で、見ていて見飽きることがありません。この女の子もあと数年で、母親みたいなしょーもないことになっちゃうんだろうなあと思わせる、そんな好演であります。
抜け出せない貧困のスパイラル。一方で「そんなに悪態ばかりついてるから、そうなっちゃうんだ」という見方に傾いたりもしがちですが、もう一方では「こういう人たちへのセーフティネットって無いよねえ、どこの国でも」と思ったりもします。
ラストをどう解釈するかは微妙な所ですね。夢と魔法の国の隣にある貧困(ちょっと黒澤明の『天国と地獄』みたいですね)。これを救えるのは、やっぱり「教育」なんだけどなあ、と大江戸は思ったりするのです。
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