« 最近のビスコあれこれ | トップページ | 「ピーターラビット」:英国は実写化が上手 »

2018年5月26日 (土)

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」:ちょっぴり天国と地獄

362655_002

映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』は、いわゆる社会派なんですけど、社会派然とせずに、アメリカのお菓子みたいな色彩の中でラフにタフに育つ子供たちを、そしてその若い母親の苦戦ぶりを追っていきます。そこから隠れホームレスの問題が、リアルに浮かび上がって来るのです。

362655_003

それにしてもドキュメンタリーと見まごうほどにリアルな(子供たちをはじめとする)、登場事物たちの演技です。ウィレム・デフォー以外ほぼ素人みたいなキャスティングなので、それによってリアル感が増していることも確かですが、まあそこらはショーン・ベイカー監督の持ち味なんでしょうねえ。

362655_001

で、アカデミー助演男優賞にもノミネートされたウィレム・デフォーがいいんですよねー。あんた、いい人だ。

6歳の女の子ムーニーとそのビッチな母親が、これまた奇蹟的で、見ていて見飽きることがありません。この女の子もあと数年で、母親みたいなしょーもないことになっちゃうんだろうなあと思わせる、そんな好演であります。

362655_004
抜け出せない貧困のスパイラル。一方で「そんなに悪態ばかりついてるから、そうなっちゃうんだ」という見方に傾いたりもしがちですが、もう一方では「こういう人たちへのセーフティネットって無いよねえ、どこの国でも」と思ったりもします。

ラストをどう解釈するかは微妙な所ですね。夢と魔法の国の隣にある貧困(ちょっと黒澤明の『天国と地獄』みたいですね)。これを救えるのは、やっぱり「教育」なんだけどなあ、と大江戸は思ったりするのです。

|

« 最近のビスコあれこれ | トップページ | 「ピーターラビット」:英国は実写化が上手 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」:ちょっぴり天国と地獄:

» 『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』 パープルカラーの貧困 [Days of Books, Films]
The Florida Project(viewing film) ディズニー・ [続きを読む]

受信: 2018年5月27日 (日) 11時01分

» フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法・・・・・評価額1750円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
魔法の国の裏側で。 全編をiPhone5s+アナモフィックレンズで撮影した怪作、「タンジェリン」で話題をさらったショーン・ベイカー監督の最新作は、フロリダのディズニー・ワールド近くの安モーテルを舞台に、貧困層の長期滞在者たちの人間模様を、6歳の少女の視点から捉えたヒューマンドラマ。 主人公のムーニー役に本作で数々の賞に輝いたブルックリン・プリンス、母親のヘイリーを演じるブリア・ビネイ...... [続きを読む]

受信: 2018年5月27日 (日) 21時42分

» 『フロリダ・プロジェクト』を見てきました [旅と遺跡とセルベッサ]
上映中の映画、『フロリダ・プロジェクト』を見るため、ヒューマントラストシネマ渋谷へ行ってまいりました。 [続きを読む]

受信: 2018年5月27日 (日) 22時15分

» フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法 [象のロケット]
アメリカ・フロリダ州の「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」のすぐ外側にある、安モーテル「マジック・キャッスル」。 ここで暮らす6歳の少女ムーニーと、仲良しの少年スクーティは、新入りの少女ジャンシーを仲間に引き入れる。 管理人の男ボビーは、子どもたちのいたずらの後始末や、宿泊費の集金、客同士のトラブル解決などに大忙しだった…。 ヒューマンドラマ。... [続きを読む]

受信: 2018年5月28日 (月) 08時13分

» 85『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』 [シネマ・ジャンプストリート 映画のブログ]
超期待の新星監督! ショーン・ベイカー監督による最新作! 『フロリダ・プロジェクト』 ~あらすじ~ 家を失った6歳の少女ムーニー(ブルックリン・キンバリー・プリンス)と母親ヘイリー(ブリア・ヴィネイト)は、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートの近くにあるモーテル「マジック・キャッスル」で生活している。周囲の大人たちが日々の暮らしに苦しむ一方、ムーニーは子...... [続きを読む]

受信: 2018年6月10日 (日) 23時25分

« 最近のビスコあれこれ | トップページ | 「ピーターラビット」:英国は実写化が上手 »