「オー・ルーシー!」:悪意と暴走の困ったちゃん
映画『オー・ルーシー!』は、予告編を見た限りでは、異文化ギャップや中年女性の冒険や恋愛を描いた軽めのコメディって印象だったのですが、本編を観てみるとさにあらず。結構ブラックな場面も多くて、観終わったらなんだか嫌な気持ちになるような作品なのでありました。金髪カーリーヘアのウィッグをつけてオレンジのピンポン玉を加えた寺島しのぶのポスター・ビジュアルも、楽しそうだったのにね。そもそも『オー・ルーシー!』なんてタイトルつけたら、楽しくなきゃサギですよね。
寺島演じる主人公の節子さん(ルーシー)がかなりとんでもないキャラで、定年退職した先輩の送別会で(酒に酔ってもいないのに)とんでもなく悪意に満ちたブチ壊し発言をしちゃったり。英会話教室に対しても、クレイマー的にいちゃもんをつけるし。アメリカに渡ってからも、相手の気持ちを全く無視して、恋の暴走を繰り広げるし。恋に関しては「免疫」が無かった人なのでしょうけれど、いやー、とにかくかなり困ったお方です。
節子の姉を演じる南果歩も、相当にイジワルで失礼な女でありまして、常に機嫌の悪いオーラを発していて・・・まあ、関わり合いたくない姉妹なのです。
終盤で忽那汐里の身に起こる出来事とか、その結果の描写とかも、驚くほどブラック。一体、この監督(平栁敦子)、何を描きたかったの?と心配になってしまいます。
せっかくの役所広司も、ほとんど生きておりませんね。言っちゃあなんですけど、彼がやらずとも他の役者でできちゃう役。だから観てる方としては、物足りなくてしょうがありません。特に『孤狼の血』の役所さんにノックアウトされた直後でもありましたので・・・。
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