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2018年5月12日 (土)

「孤狼の血」:お家芸復活

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映画『孤狼の血』は、オープニングに出る古典的波濤三角マークがめっぽう似合います。東映は、1994年の『首領(ドン)を殺(と)った男』公開の際に「最後のヤクザ映画」と銘打っており、確かにその後真っ当な(?)ヤクザ映画は作っていないと思います(その代わり、Vシネマではバンバンやってましたけど)。つまり満を持して、24年ぶりのお家芸復活といったところです。

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メインタイトルのブルーがかったモノクロ写真に赤文字縦書きで役者名がかぶるあたり、まるで’70年代の東映実録路線の感覚。全編にわたって、本家東映ならではのえぐい色あいが感じられます。監督が(まさに適任の)白石和彌だけあって、極悪&ハードな描写の数々で、ぐいぐいと引っ張っていきます。いやー、キラキラ映画ばかり増えて、ヤワになり過ぎている日本の映画界だけに、こういうもんも復活していただきたいと思います。清濁併せ吞む、ってことで・・・。

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ヤバイおっさん役には定評のある役所広司が、今回もタガがはずれちゃってて、ヤバ過ぎです。あとは、松坂桃李は別として、実にヤクザ顔の面々を集めましたね。音尾琢真なんて、世が世ならピラニア軍団の顔ですもんねえ。ただ、江口洋介だけはいくら力んでも迫力不足で、とてもヤクザの幹部とは思えません。場違い感たっぷり。これ、役名が「一ノ瀬守孝(モリタカ)」だからっていうんでキャスティングしちゃったのかしらん?

松坂桃李の成長物語にもなっているのですが、終盤の彼がらみのシーンはなかなか良かったですね。そして彼と絡む阿部純子も、女優としてだいぶ良くなってきました。

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これを機に、年に1本とか半年に1本でいいから、東映のヤクザ映画が復活ってことになってほしいですね。暴対法でヤクザがすっかり弱体化しているという昨今ですが、やはりこれは伝統芸能みたいなもんなんだから。(もちろん本物のヤクザとは絶対お近づきになりたくないですが)スクリーン越しに観る分には安全なんだから。そして、若い人々に「ヤクザって、ほんとにコワイもんなんだなあ」とわからせる教育的効果もあると思うんですけどねえ。

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