「君の名前で僕を呼んで』」:ジェイムズ・アイヴォリーらしさ
映画『君の名前で僕を呼んで』の脚色とプロデュースは、ジェイムズ・アイヴォリー。まだ活動してたんですね。いかにも彼らしい文学の香気とある種の格調を漂わせた映画です。まあ男同士の愛情物語ってところも、彼らしいのですが。彼としても、ようやく自分の作りたいこういう作品を作って、高く評価してもらえる時代になったということなのでしょうね。
(行ったことはないけれど)イタリアの避暑地の風を感じる映像です。撮影監督はサヨムプー・ムックディプロームというタイ人。なんと、アピチャッポン・ウィーラセタクンの『ブンミおじさんんの森』を撮った人なのでした。確かに独特ですが、素晴らしく気持ちの良い映像です。避暑地の陽光、暑さと涼しさ、街の風と田舎の風、そういったものをいちいち感じさせてくれるのです。そして、色彩が気持ちいいのです。
青くさいガキのめんどくささを存分に放射しているティモシー・シャラメ。そして、アイヴォリー作品にふさわしい彫刻のような美男子ぶりのアーミー・ハマー。この二人のコンビネーションは、かなりスリリングであり、かつほほえましくもあります。
でもまあ、本作のキモはラスト近くにある少年と父との会話(と言うよりは、ほとんど父の独白)シーンでしょう。ここらにもアイヴォリーの影を見る思いがします。稀有な父親ですね。
ただ根本的に、「君の名前で僕を呼ぶ」ことが愛情表現であるって感覚が、どうにもピンと来ないのです。うーん、理解できないー。
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