「海を駆ける」:抽象的だけどありきたりで・・・
映画『海を駆ける』は、あるコミュニティーにおける異質な存在(侵入者)の物語を語り続ける深田晃司監督の新作。全編、インドネシアが舞台で、インドネシア人も多く登場するため、日本映画って言っていいのかちょっと迷うところでもあります。
ディーン・フジオカ演じる異人が、海=大自然であり、神でもありというような抽象的な物語を、抽象的なまま、でもストレートに提示します。ただ、あまりにもそのまんまというか、映画表現としてこなれていないようにも思えます。インドネシアが舞台で、「津波」という台詞もあるだけに、その意図するところがありきたりに見えてしまうという欠点があるのです。
ディーンは、その浮世離れした透明感がキャラに合ってます。太賀と鶴田真由の流ちょうなインドネシア語には感心しました。
(以降ネタバレあり) ラストで一同が「海を駆ける」わけですが、特に感銘を受けるような「奇蹟」感はありませんでした。残念です。そこが勝負なのに。 水の上を歩くってことにおいては、ハル・アシュビー監督の『チャンス』(Being There)のラストを見習ってほしいものだと思いました。
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