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2018年6月 4日 (月)

「ファントム・スレッド」:完璧な映像の中の完全主義者、だが・・・

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映画『ファントム・スレッド』は、ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)監督とダニエル・デイ=ルイスのコンビが、あの重厚な『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に次いでタッグを組んだ作品。両作の毛色は随分と違いますが(そもそも『ファントム・スレッド』はPTA史上初のアメリカ以外が舞台の映画)、作品のクォリティの高さでは引けを取りません。とにかく映像が完璧です。映画の映像として、美しいだけでなく雄弁です。

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PTA映画の主人公って、常に「歪んだ人」ですが、本作のオートクチュール・デザイナーも、相当に歪んでます。その、神経質で完全主義な「あるある」な個性を、ダニエルが完璧に演じます。こういう人は他人と暮らすのが無理なんだから、結婚なんかしちゃいけません。それをご本人が一番よくわかっていたはずなのに・・・ってお話です。 それにしてもオープニングで身支度をする彼のルーティンの美しさと完璧さ。これでどういう人かを描くPTAは、さすがですね。

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ダニエルに対する“マイ・フェア・レディ”としてのヴィッキー・クリープスですが、大江戸はどうにも好きになれない顔です。ぼんやりした華のない顔。なぜ彼が魅かれて行ったのかが、説得力を持って描かれていないのが、本作の欠点だと思います。

一方で、ダニエルの姉を演じるレスリー・マンヴィルのクールな表情の芝居が豊かで、完璧です。

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(以降ネタバレあり)  あまりにも見事な夫婦喧嘩描写を経て、作品はかなり変態的な地点に着地します。人間の不可思議といえば、そうなのかも知れません。いずれにせよ、他のPTA作品同様、何とも割り切れない「大人の味わい」なのです。

衣擦れの音、食べ物を食べる音、食器の音・・・本作は(誇張された)音の映画でもあるのでした。もちろんジョニー・グリーンウッドの音楽の素晴らしさも、言うまでもありません。

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受信: 2018年6月 6日 (水) 18時27分

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1950年代、ロンドン。 オートクチュール(高級仕立服)「ハウス・オブ・ウッドコック」を姉と営み、英国ファッション界に君臨する男レイノルズ。 彼は新たなミューズとなった若い女性アルマの“完璧な身体”を愛し、彼女をモデルに昼夜問わずドレスを作り続けた。 仕事に没頭する気難しいレイノルズに不満を募らせたアルマは、ある行動を起こす…。 ラブ・ストーリー。... [続きを読む]

受信: 2018年6月 8日 (金) 14時05分

» ファントム・スレッド [あーうぃ だにぇっと]
ファントム・スレッド@シネアーツ試写室 [続きを読む]

受信: 2018年6月10日 (日) 13時54分

» ショートレビュー「ファントム・スレッド・・・・・評価額1700円」 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
二人で、愛と狂気を縫い上げる。 異才ポール・トーマス・アンダーソンの最新作は、まさにこの人にしか作り得ない、驚くべき怪作である。 イギリスの社交界を彩る女性たちのために、ゴージャスなドレスをデザインする、レイノルズ・ウッドコックと、彼のミューズとなるアルマの、奇妙で狂おしいサスペンスフルな愛の物語だ。 レイノルズのモデルとなっているのは、20世紀の伝説的オートクチュールデザイナー、...... [続きを読む]

受信: 2018年6月18日 (月) 23時06分

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