「終わった人」:シニア映画の先がけ
映画『終わった人』は、おととし『さらばあぶない刑事(でか)』で刑事を定年退職した舘ひろしが、今度は一流銀行の子会社を定年退職して・・・という話。舘さんももう68歳なので、(若く見えるとは言え)十分そんな年齢なんですね。
監督は「ホラーの巨匠」中田秀夫。でもこの人、本当は人間ドラマやコメディの道に進んだ方が良かったのかもなんて、ちらっと思ってしまいました(顔もお笑い芸人っぽいし)。それぐらい安定感のある堂に入った演出で、けっこう松竹映画のカラーだなあって感覚もありましたね(本作は東映配給)。 そういえば、作品内で主人公の田代(舘ひろし)が、東大卒のエリートだってことで揶揄されたりするのですが、中田監督も東大卒なんですよねー。そこで抜擢されたのではないかしらん??
戦後長らく(’80年代ぐらいまで)日本の会社で定年と言えば55歳でした。現在は60歳から65歳に移行する過渡期であり、既に70歳定年の導入も見えてきています。そういう時代なので、この作品で63歳となっている主人公がまだまだ若くてやる気十分なのも当たり前。そんな主人公のあがきっぷりを楽しむ作品であり、社会的要素を取り入れたコメディとして、、まずまずの出来映えです。
原作者の内館牧子さんが、老人だらけのスポーツジムの場面にカメオ出演していらっしゃいました。そういえば、そんなジムのみならず映画館って所も、近年はかなりお年寄りの多い場所になって来ております。この作品の客席も、シニア比率が高かったです。そういった意味では、今後こういう映画が増えていく土壌はあるのでしょうね。
そうそう、主人公の回想する高校ラグビー部のいさかいが、ちょっと日大アメフト部問題を連想させてタイムリーなのでありました。
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