「羊と鋼の森」:清く正しく美しく
映画『羊と鋼の森』は、調律師という珍しいフィールドを舞台にした「仕事映画」であり、ビルドゥングスロマン(成長物語)。上品で、まじめで、「文部省推薦」になっててもおかしくないような作品でした(あ、今は文科省か)。主役の山崎賢人の好青年ぶりも、その傾向に拍車をかけています。
山崎に限らず、登場人物がみんなまじめでいい人です。光石研はちょっとひねくれてたけど、最後はかなりいい人。城田優だけが、ちょっと感じの悪い人でした。 中でも、風格のある堂々たる「いい人」だったのが、三浦友和。三浦さんってしばらく前はけっこう崩れた役、悪い役にチャレンジしていたようですが、最近はまた本筋の「正しい人」の役に戻っているようです。やっぱりこっちですよね。これだけ「正しい人」のオーラが出てる人って、なかなかいません。
映画の中の姉妹を、上白石姉妹が演じているってのも結構でした。上白石姉妹のお母様って、ピアノの先生なんですってね!(ただし二人ともほとんど習っていないそうでですけど) びっくりです。
作品としてはまずまずなのですが、調律について、もう少し掘り下げて具体的に描いてもらいたかったですねえ。その方が映画の力にもなったのになあと思いました。
まあ、「音」というものを映像で表現するという難題(もちろん音はついているわけですが)に挑んでいるわけで、森の映像、水の映像などを使って美しく描き出してはいますが、こちらの想像を超えるほどのものはなく、そこらがちょっと物足りない所ではありました。テストで75点を取るまじめな生徒って感じで・・・。
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