「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」:古くてつらいよ
映画『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』は、前作同様に現在の山田洋次の「年寄り感」「古さ」が出まくっています。前にも書きましたが、やはりコメディだとか笑いのセンスってやつには、その時代の感覚が重要なんですよね。なかなか笑うに笑えませんでした。相変わらず、ボールや階段で滑った転んだやってるし・・・。
今回の、と言うか、今回もというか、メッセージはストレートで明解です。封建的な父権主義にノーを突き付けるわけで、それ自体には大賛成です。しかし、その描き方が、そしてこの家族があまりにも古めかしすぎて、何もかもが作り物めいて見えるのです。そもそも西村まさ彦演じる長男は、なんであんなに威張り散らしているのでしょうか? 家庭内パワハラ、セクハラとでも言いましょうか・・・。あれでは逃げられて当然というか、裁判などにでもなれば、大敗は必至でしょう。
(以降ネタバレあり) 大体この人、女房を取り戻しに行った時に、「お前がいないと困る。俺にはお前が必要なんだ。」とか言ってましたが、そんな自分勝手な台詞で夏川結衣が戻る気になったのが不思議です。むしろ「そうだとしても、私にはあなたは必要ありません。」って言ってやればよかったのに、なんて思っちゃいました。
一方で、人間の善性を体現するかのような妻夫木聡と蒼井優演じる末っ子夫妻も、(いい人過ぎて)けっこう気持ち悪いです。いったいいつの時代の人だろうっていう不自然さにも溢れておりまして。 不自然といえば、西村-夏川夫妻の子供たちの演技や台詞も不自然で、観ていてつらいものがありました。観るのがつらいよ。
山田監督は決して嫌いではないし、その社会性には常に一目置いているのですが、このシリーズはもういいやって感じです。
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