「鏡の中にある如く」:シンプルで堂々たるドラマ
映画『鏡の中にある如く』('61)は、『冬の光』『沈黙』と共にベルイマンの「神の沈黙三部作」と称せられます。日本では長らく再公開がなかった作品であり、大江戸も今回の「ベルイマン生誕100年映画祭」(YEBISU GARDEN CINEMA)で初めて観ることができました。
登場人物は4人きりと、舞台劇のようにシンプルですが、物語もいたってシンプル。ベルイマンにしては、やけに「わかりやすい」と言っていいかもしれません。これぞドラマという感じです。ただ、そこに神に関する問題が出て来たり、父親が妙に哲学的な事を語ったり、そもそも統合失調症の人の話だったりするので、どう考えたらいいものやら・・・といったシーンがあることも確かです。その最たるものは、ある種奇妙なラストだったりするのです(まあ、しかしそれとても「演劇的」と言ってしまえば、それで片付くのですけれど)。
でも、必要以上に難解なわけではなく、会話のやり取りや意表を突く展開のあれこれが、単純に面白いのです。多分にウディ・アレン的だなとも思いました(ってゆーか、アレンが影響を受けてるわけですけどね)。 スヴェン・ニクヴィストによるモノクロ撮影も、美しくかつ緊張感に溢れて、見事でした。やっぱり堂々たる名作だと思います。
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