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2018年7月27日 (金)

「仮面/ペルソナ」:難解さが嬉しくて

「ベルイマン生誕100年映画祭 -デジタル・リマスター版-」が、YEBISU GARDEN CINEMAで始まりました。初期から晩年までバランス良く、ベルイマンの名作13本を揃えての特集上映です。まさに「待ってました!」ですね。映画史の巨星でありながら、近年はあまり名前が出て来なかったベルイマン(フェリーニもですが)を、現代に紹介し啓蒙する、素晴らしい企画です。

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で、大昔に一度観たっきりで、もう一度観たいなあと思っていた『仮面 ペルソナ』('66)を再見しました。ラインアップの中でも、これが一番観たかったのです。 いやー、製作から半世紀以上の時を超えて、今だにバリバリの「前衛」です。いや、むしろ最近の映画はわかりやす過ぎて骨が無いと言うべきかも知れません。

時にソフトフォーカス、時にハイ・キーなモノクロ画面が、時としてアクロバティックに暴れたりしながら、ベルイマンらしい静けさで女二人の心理を、その葛藤を浮かび上がらせます。女二人と書きましたが、もしかしたら女一人のことかも知れないし、映画の後半には二人が入れ替わったり同化したりするようなショットもあります。このひりひりするような心理戦が、いかにもベルイマン。ガラスの破片のシーンなんかも、実にベルイマンなのです。

学生時代の初見時から随分時がたったとは言え、やはり本質的には変わらぬ感想を持ちました。サブリミナル的な短いカットのモンタージュなどは、「すげーな!」であり「やってるやってる」ですし、何だかよくわからないところは、やっぱりわからないのです。ただ、難解な映画が少ない今、このような難解さがむしろ嬉しかったりするのです。この作品でベルイマンは、自分にとっての映画というものを新しく「発明」しようとしていたのかも知れませんね。

どうでもいいけどこのタイトル、『仮面/ペルソナ』とせずに『仮面ペルソナ』と続けてはいけませんよ。「仮面ライダー」みたいな連想を呼んでしまいますから。

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