「クレアのカメラ」:名匠の息抜き
ホン・サンス×キム・ミニ映画4作連続公開も本作で最後(制覇しました)。4作品すべて観た人にポスタープレゼントがあるというので(スタンプカードがあって)、『それから』のをもらいました。
この作品は、カンヌ映画祭滞在中の即興で、数日のうちに作っちまったという69分の小品。朝、その日分の脚本もどきを与えられて演じるホン・サンス的な映画作りだからこそ実現したようなもんです。物語はいつも通りのたわいもない男女のあれこれを描く会話劇。今回は、異人としてのイザベル・ユペールをからませたところがミソですね。
クレア(ユペール)はチェキのカメラ(ですよね?)を持っていて、それが話を転がして行きます。 一方で、マニ(キム・ミニ)は、いきなりかわいそうな目に遭ってしまいます。そういえば4作品を通じて、割とかわいそうと印象が残る彼女です。やはりホン・サンス監督との不倫を糾弾されたことが影を落としているのでしょうか。ってゆーか、そのようなキャラクター、そのような映画にしているのはホン・サンス自身なんですけどね。
でもさすがに出来としては物足りないというか、デッサン程度の印象です。作品の成り立ちからいえばしょうがないことでしょうが、そんなの観客には関係ないとも言えます。名人芸でそれなりに楽しめはしましたが、ホン・サンスの2017年作品としては『夜の浜辺でひとり』、『それから』という2大傑作にはさまれているだけに、まあ息抜きみたいな作品だったのかも知れませんね。1本でも多く、キム・ミニと映画を作りたかったんだろうなあ。
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