「グッバイ・ゴダール!」:ステイシー・マーティン=裸の本田翼
映画『グッバイ・ゴダール!』は、予想以上に面白かったです。ゴダールの2番目の妻だったアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的小説が原作で、それだけに痛烈にゴダールを「人としてダメダメなろくでなし」に描いております。ゴダール派の方にとっては、受け入れがたいものがあると思いますが、ゴダールに何の思い入れもないというか、そもそもゴダール映画で好きなものがない大江戸にとっては、この描き方に抵抗はありませんでした。
それにしても、存命中の巨匠の暗黒面を実名でリアルに作っちゃうなんて、日本では考えられません。今、山田洋次とか北野武とかをこきおろす映画を作っちゃうみたいなものですからね。
ミシェル・アザナヴィシウス監督の映画的舌鋒は容赦なく、ゴダールを偏屈で頭でっかちの人格破綻者として描きます。トゲトゲで周りの人をみんな傷つけるし。実際、観ていてかなりムカつきます。だからアンヌが「我慢強い」女であり、なかなか愛想をつかしたりしないことに感心します。それが愛ってもんなんすかねえ。
アンヌを演じたのは、『ニンフォマニアック』のステイシー・マーティン。いやー、キュートです!そして見事に'60年代っぽいんです(ソバカスの多さとかね)。このサラッとした個性が素敵です。なんか本田翼だよなあと思いながら、観ておりました。テイストが似てるんです。脱ぐことにためらいのない本田翼と言うべきか。まあ、とにかく本作では彼女から目が離せません。ヌードもとってもキレイですし。ゴダールがヤキモチ焼くのもわからんではありません。彼女を見るだけでも、この映画を観る価値があります。
ミッドセンチュリー的にポップな色彩の美しさとか、その中へのモノクローム映像の印象的な挿入(あのセンシュアルな唇のモンタージュ!)とか、ひいては反転(ネガ)映像とか、計算しつくした横移動とか、ハイスピード撮影(スローモーション)とか、映像のギミックも、実に効果的です。監督の実力を大いに証明しております。思想的側面から否定するには、あまりにももったいないクォリティです。
それにしてもゴダールは、この映画を訴えたりはしないんでしょうかねえ。ま、多分に真実が含まれているのでしょうし、そういう事はしない人なんでしょうね。
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