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2018年9月22日 (土)

「泣き虫しょったんの奇跡」:平凡に淡々と

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『泣き虫しょったんの奇跡』は、豊田利晃作品だってことが信じられないぐらいの、オーソドックスな作り。古風な娯楽映画の定石通りの、しかも少しゆるいぐらいの演出です。どうしちゃっちゃったんでしょうね? 豊田監督は9歳から17歳まで新進棋士奨励会に所属していたそうで(びっくり!)、そこらが影響しているのですかねえ? それとも、これから棋士をめざす子供たちを重要なターゲットと考えたのかしらん?

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子供時代から若者時代、そして26歳というプロ棋士昇格の年齢制限が近づく年代、そしてその後の30代まで、年代記的に素直な時系列で物語を進めていきます。ただ、いかんせん実話に基づくこの物語が、妙に通り一遍というか、コクが無いのです。映画が平凡で、跳ねていくような面白さに欠けるのです。主演が松田龍平なもんだから、淡々さに拍車がかかっておりました。

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将棋の対局場面についても、他の将棋映画よりも一段と、盤面でどんな勝負が行われているかを見せるつもりはさらさらないようでした。あえて、どんな手だとかは写さないようにしておりました。更に映画としては対局場面を力を入れて描いていくのが普通ですが、この作品ではあくまでも淡々と(まあそれがリアルなんでしょうけど)描写します。そこらが、大江戸なんぞには物足りなかったところです。

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キャストは脇役、チョイ役に至るまで、やけに豪華です。妻夫木聡や藤原竜也や染谷将太や新井浩文を、あんなチョイ役で使っていいんでしょうか?って感じ。でもここでも、世界のイッセー尾形だとか、日本の(?)小林薫だとかは、見事な味を出しているんですよねー。

(以降ネタバレあり) ラストもめでたくプロになれて終わり。もう一工夫二工夫してくれないと、感動したくてもできませんです。

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コメント

> しかも少しゆるいぐらいの演出です。

いつもの演出だったら、対局者がジャックナイフくらい出して、降参せんと刺すで、くらい言いますよね。

投稿: ふじき78 | 2018年9月23日 (日) 21時39分

ふじき78さん、ですよねー。TVゲームをしていた駒木根隆介が振り向いて、「(ケンカするんなら)もっと血の雨が降るまでやりゃいいんだよ」とか言うあたりだけに、その片鱗が・・・。

投稿: 大江戸時夫 | 2018年9月23日 (日) 22時09分

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