「コーヒーが冷めないうちに」:あれもこれも問題で・・・
映画『コーヒーが冷めないうちに』は、予告で大体わかるように(泣かせようとする)「時間SF」です。でもねえ、設定がすっごく強引なんです。喫茶店のある席に座ると、めんどくさいルールはあるものの、過去に戻れるって設定でいきなり物語が始まってます。何それ? 「なぜ?」とは言わせません。そういうルールなんです、って「えー!?」ですよね。無理くりすぎます。
しかも恋人、夫婦、姉妹、親子をめぐる4つの物語がオムニバス的に連続して描かれるのですが、何とかつなげようとしているけれど、(この店の客ということでしか)つながっておりません。 さらに、終盤の重要な時間が交錯しながら「あーなってこうなって・・・」の部分が、複雑すぎるのか、説明がヘタなのか、当方がバカなのかで、今一つよくわかりません(これでいいのかどうか不安になるような・・・)。
いきなり序盤から有村架純、波瑠の朝ドラ主演女優対決があったり(薬師丸さんも主演じゃないけど朝ドラ女優ですよね)、吉田羊とか松本若菜とか芸達者を揃えている割には、みんな演技がヘタに見えてしょうがありませんでした。石田ゆり子さんも、(いくら幽霊の役とは言え)見せ場に乏しく、魅力的ではありませんでしたねえ。篇中にカラオケで星野源の『恋』が歌われているのは、ゆり子さんへのオマージュなんでしょうかねえ(『逃げるは恥だが役に立つ』)。
言っちゃあなんですけど、とにかく映画的センスがよろしくないのです。これまでTVドラマの演出を多く手掛けて来た塚原あゆ子監督ですが、うーん、あまりにもお手軽な、主張のない演出ではないでしょうか。 時間SFにかけては定評のある(はずの)奥寺佐渡子(細田版『時をかける少女』など)脚本なのに、こうなるとは意外でした。原作、脚本、演出、演技、揃って問題アリに思えてしまって・・・。
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