「ハナレイ・ベイ」:ラストの吉田羊の表情! #ハナレイ・ベイ #吉田羊
映画『ハナレイ・ベイ』は、村上春樹の短編集『東京奇譚集』からの映画化。(春樹作品はみんな読んでいるので)昔読んではいるのですが、どんな話か全く忘れてしまっておりました。
松永大司監督って、妙に巨匠的なポジションについているようにも見えるのですが、商業ベースの劇映画って、『トイレのピエタ』一作を撮っただけなんですよね(それも大江戸は観逃しちゃってます)。そういった意味でも、この『ハナレイ・ベイ』の出来は、要注目でした。
結果、大成功とは言えないまでも、成功とは言っていいのではないでしょうか。饒舌ではなく、端正な、そして映像も含め日本映画離れしたというか国際感覚のある上質な作品となっています。何と言っても、村上春樹的な「喪失感」をしっかり描き出す映画ですし、小説的な味わいもにじませていると思います。
でも近藤龍人による映像がクール過ぎて、ハワイの暑さが感じられません。でもまあ、そこらも含めてハルキ的と言えば言えるところなんでしょうけれど。
若い役者たちの中では村上虹郎がダントツに良いですね。気になる空気をまとっております。
ただこれは、言うまでもなく吉田羊のための作品。ことさらに作り込みをせず、吉田羊そのものみたいな女性なんですけど、こういう主演作を持てた女優ってのは「冥利に尽き」ますよねえ。ラストの複雑な表情などは、絶品です。(極論すれば)その2-3秒のためにあるような映画です。
そして、彼女が浜辺で椅子に座って本を読みながら、サーファーの男の子たちを見ているという姿は、「ライ麦畑で子供たちが崖から落ちないようにキャッチャー(捕まえ役)をやる」というのと同じなのかもと思ったのでありました。
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