「迫り来る嵐」:スタイリッシュな映像の新鋭 #迫り来る嵐 #ドン・ユエ
映画『迫り来る嵐』は、映画のルックからいうとまるで『セブン』。薄暗くて、いつも雨が降っていて、何か禍々(まがまが)しいムード。それに加えて、広告の文句にもあるように『薄氷の殺人』や『殺人の追憶』にも似た雰囲気を持っています。
脚本・監督は広告界出身の董越(ドン・ユエ)。なんとこれが初監督作だそうで、うーん。レベル高いですねー。
とにかく映像がカッコイイです。そこらに広告界出身のセンスが出てるんでしょうかね。室内も屋外も、このルックのコントロールは見事です。そしてすごく映画的な映像です。美しい絵も多いんですよね。雨と泥の方がずっと多いけど。
言葉に頼らず映像に語らせる話法と、不親切なまでの省略の効かせ方。うーん、やはり只者ではないですね、この監督。
でも、それは諸刃の剣でして、ハッキリ言ってわかりにくい。後からネットを色々見て、ようやくストーリーの全貌を理解した次第。しかも、それでさえ謎がいくつか残ってるし・・・。 まあ、作っているドン・ユエ監督は「そんなことどうでもいい」と思ってる節がありますからねえ。
1997年の中国(香港返還の年)ということで、いろんなメタファーを読み取ることもできます。『迫り来る嵐』というタイトルや、ラストシーンなどもまさにそうですね。
ところで、美容室の鏡にヘアスタイルの見本写真がズラリと貼ってあったのですが、その中に若き本田美奈子(ですよね?)や裕木奈江の写真もあったのを、大江戸は見逃しませんでしたぞ。
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コメント
こんにちは。TBをありがとうございました。
この作品は、湖南省の雨の多い土地柄の絵が作風にマッチしていて、改革の嵐に翻弄される当時の中国の雰囲気がとてもでていたと思います。
連続殺人事件の犯人の結末については、驚かされました。
投稿: ここなつ | 2019年1月 8日 (火) 12時55分
ここなつさん、こんにちは。
中国の地理や気候には疎いのですが、こんな陰鬱で雨だらけの所に暮らしてたら、人格に影響しますよねえ。少なくとも、明朗快活な人には育ちにくいのでは?
投稿: 大江戸時夫 | 2019年1月 8日 (火) 19時01分