「君が君で君だ」:松居監督の暴発 #君が君で君だ
映画『君が君で君だ』は昨年7月の公開作ですが、ベストテン選び用の「落穂拾い」として、テアトル新宿の「邦画大忘年会」という企画で、今年初めに観ました。
いやー、大抵の作品は受け入れちゃう大江戸ですが、これは受け入れ難かったなあー。 「異形の純愛」ものは好きなので、それを期待したのですが、これは愛じゃないし、またリアルでもなければ観念でもないという「どうなってんのこれ?」状態。単に「ありえねー」と思ってしまわざるを得ません。設定も芝居も舞台劇っぽいので、舞台化した方が良かったのでは?
松居大悟監督の『私たちのハァハァ』('15)は、その年のマイ・ベストワンにしたぐらい好きだったのですが、昨年公開の『アイスと雨音』に続いてこの作品では、すっかりランクダウンなのです。
3人の男たちの(ほとんど意味不明な)ストーカー行為が、単にバカバカしくてキモイだけで、そこから純愛に昇華したりはしていないのです。狂気の沙汰というか・・・。しかも、こいつら平生は何を生業として生きているのか全くわかりません。少しはそういう描写だってあるべきだと思うんですけど。
(以降ネタバレあり) それはウソでしょーというような行為ばかり繰り広げる3人ですが、終盤に池松壮亮が(崇拝する「姫」が切り落とした髪の毛を)ムシャムシャと食べるところに至っては、もうついていけませんでした。きもちわりー。池松君、その後でひまわりの花まで食べちゃってます。
キム・コッピがあんまりかわいくないところも、作品の魅力を削いでいますよねー。監督の意図はあるのでしょうけれど、ここはやっぱり超かわいくないと説得力がありませんからねえ。 すべてにわたって、松居監督が暴発してしまった失敗作だと思います。
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