「ウトヤ島、7月22日」:事件を体感する #ウトヤ島、7月22日
映画『ウトヤ島、7月22日』は、2011年にノルウェイで起こった銃乱射テロ事件を描いた作品。実際の犯行時間と同じ72分をワンカットで描いた作品--という触れ込みなのですが、計算してみるとちと腑に落ちません。
本作の上映時間は97分なのです。で、冒頭のタイトルとオスロでのテロ事件描写が5分ぐらいあって、あとはキャンプ地のウトヤ島にすぐ移ります。そこからずっとワンカットで、ラストの字幕とエンドロールが長く見ても10分程度。つまり5+72+10=87なので、97分の上映時間とは10分程度の差があるのです。これはどういう事なのかと考えていたら、気がつきました。電話中の主人公(的な)カヤの顔からキャンプ地の描写に移ってから、しばらくの間はカヤと妹や仲間たちとのグダグダな描写が続いていたのですが、それがちょうど10分程度だったかと思います。つまり、事件の時間72分に加えて、事件勃発までの約10分=約82分ワンカットの長回しだったのでは?疑惑が、小生の心の中で起こったのです。おそらくそうなのでしょう(ちゃんと計測したわけではないのですが・・・)。それなら腑に落ちます。
この学生たちに混ざって、実際にこの得体の知れない恐怖を体感してもらう--そういった映画です。そうなればこそのリアルタイム長回し。不条理な状況に身を置きながら、銃というものの恐ろしさを、いやというほど体感できます。状況が分からない不安感が胸を押しつけますし、暴力的な射撃音が実に怖いのです。アメリカの銃保有賛成派の方々に観てもらいたい、そして自分や自分の家族がこんな目に遭ったらどうなのかと考えてもらいたい映画です。
| 固定リンク
コメント