「風たちの午後」:音量を上げろタコ! #風たちの午後 #矢崎仁司
映画『風たちの午後』のデジタル・リマスター版が公開されているので、初めて観ました。1980年初公開ってことなので、40年目のリバイバルということになります。びっくりですね。
モノクロ映像で、最初と最後だけパートカラーにしています。その映像の中に描かれる物語は、かなりドロドロで狂気を孕んだものです。『風たちの午後』なんていう爽やかな代物ではありません。『狂恋の女師匠』なんていう溝口健司作品のタイトルを思ってしまいました(別に師匠じゃないんですけど)。
矢崎仁司監督は、大江戸にとって好きでも嫌いでもある監督でして、実際『花を摘む少女と虫を殺す少女』『ストロベリーショートケイクス』『スイートリトルライズ』あたりは大好きなんですけど、『無伴奏』とかはダメでして・・・今回は後者の方でした。
女優(男優も)の素人っぽさが、作品に説得力を持たせることから遠ざけていますし、描写の一つ一つが観念的過ぎて嘘っぽい気がします(たとえば、歯を磨きながら部屋を出て、振り返りながら歩き去るとことか…)。ラストもその最たるものではないでしょうか。うーむ。
そして、異常に小さな音声・音響に驚きました。予備知識がなかったので途中席を立って、何らかの映写ミスなのでは?と劇場の方に伝えましたが、最後まで改善されませんでした。実際台詞が聞き取れない箇所だらけでした。フラストレーションがたまりました。ところが、後から調べてみると、これは矢崎監督の意図であえて小さな音にしていることがわかり、唖然としました。さすがにやり過ぎではないでしょうか? せめて、冒頭に「監督の意図で音量が小さい」旨の字幕を入れるとか、映画館内に掲示するとかすればいいのに。
それにしても40年の年月って、大きいですねえ。新宿の街も、渋谷の街も、洋服や髪型も、あまりに今と違っております(まあ50年前、60年前はもっと大きく違っているわけですが)。そして、当然携帯電話などは、影も形もないのでありました。
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