「麻雀放浪記2020」:何を作りたかったの? #麻雀放浪記2020 #白石和彌 #ベッキー
映画『麻雀放浪記2020』は、あの和田誠監督デビュー作(1984)の奇想天外なリメイク。 何しろ主人公は戦後の混乱期から2020年にタイムスリップして来ちゃうし、色々と羽目を外してるヤンチャな作品だし、そもそもピエール瀧事件で渦中の作品となってしまいましたしね。ただ、ピエール瀧の場面をカットしたりせずにそのまま公開した東映の姿勢(劇場への掲示や本編前の字幕でピエールが出ている旨を明示し、見たくない人は見なければいいという形にし、ムビチケなどは払い戻しを行うという対応)を、大江戸は絶対的に支持します。コンプラ、コンプラで、少数のクレームを怖れて、臭いものにフタをするように、危なっかしいものは最初から世に出さないって姿勢は、ダメでしょ。坂本龍一さんたちも言っているように、誰の得にもならないし、多くの人が関わって作り上げた作品には罪など無いわけです。罪を犯した人へのペナルティというのは、司法の裁きによって与えられ、加えて仕事がなくなる(=収入がなくなる)とか白い目で見られるという社会的制裁も加えられる、それで十分じゃないですか。
で、映画の方はかなりの乱調。白石和彌がぶっとんだコメディーを作りましたってところですが、惜しいのはせっかくの第三次大戦とか東京「ゴリン」ピック中止とかのパワフルでトリッキーな設定が、ほとんど生かされていないこと。そりゃないでしょー。ふんどしとかVRとかAIとかの設定は一応生きて楽しめているだけに、残念です。 そしてクライマックスも盛り上がらないし、凝った設定の割には「いったい何を作りたかったの?」って感じなのでありました。
それにしても2020年って来年のことなのに、未来感、SF感ありすぎじゃね? 目の脇につけるカメラ&モニター(?)デバイスとか、ヒト型AIとか…。建物内をセグウェイで移動ってのは、やろうと思えばすぐにでもできますけど…。
大江戸は麻雀をやったことがないのですが、まあ鑑賞には問題ありませんでした。でも麻雀牌の並びをしっかり写しておりましたので、麻雀を知っている人にはより楽しめるようにできているのでしょう(たぶん)。それはそうと、一緒に一度あるかどうかの珍しい手だなんて言ってる割には、「九蓮宝燈(チューレンポウトウ)」出すぎじゃね?
ベッキーをAI役でキャスティングしたってのは慧眼で、なるほど確かにAIっぽいですね。でもベッキーにはこれから映画のフィールドで活躍してもらいたい気がします。 あとヒロイン役としてチャラン・ポ・ランタンの「もも」さんがキャスティングされてますが、こちらは妙にいかつくて妙に年が上に見えて、・・・うーん、この役はもっと可憐な人が良かったのではないかなあ。
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