「運び屋」:滋味深く #運び屋 #クリント・イーストウッド
映画『運び屋』をようやく観ました。クリント・イーストウッド88歳の監督作にして、10年ぶりの主演作。見事によく出来た、「映画」というもののお手本みたいな作品でした。
ストーリーはシンプル。それを「味わい」で見せていく手練れの技。ジジイ映画としても家族映画としても犯罪サスペンスとしても、それぞれに味わい深いのです。さすがにラブロマンスの要素こそありませんが、一方では「お盛ん」なところを見せつけるイーストウッド翁でもあります。
役者イーストウッドがとにかくいいんですよねー。枯淡の境地に入るでもなく飄々と、しかしかくしゃくとした肉体や頭脳の冴えも見せつつ、でも衰えを隠すことなしに、この主人公を多面的かつ魅力的に演じています。たぶんご本人はもう少しシャキッとしているみたいですし、主人公は90歳の設定ですから、2歳上の演技をしたのでありましょう。これは絶対アカデミー主演男優賞に価する、少なくともノミネートされてなきゃおかしいって演技です(なのにねえ…)。滋味に溢れる演技とでも言いましょうか…。
冒頭の園芸品評会の場面でのスーツ姿、終盤の裁判場面でのスーツ姿、どちらも細身長身の姿にスーツが(裁判場面ではメガネも)よく似合っています(シャキッとしてます)。こんなカッコイイ老人、なかなかいません。ステキだぞ、クリント。
家族の問題を描く本作で、確執のあった娘役で実の娘のアリソン・イーストウッドが出演というのも、妙に感動的。彼女がらみの部分、ダイアン・ウィースト演じる元妻がらみの部分、そしてブラッドリー・クーパーがらみの部分が、それぞれにじわりと感銘を与えてくれます。うーん、やっぱり名人芸だぞ、クリント。
それにしても予告編の最後のフレーズ、「人は永遠には走れない」って、これまた味わい深い言葉ですねえ。
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コメント
うううむ。。。
いつまで走ればええのんか???
最近の課題。
投稿: ピナコラ。 | 2019年4月10日 (水) 22時43分
まあ、それは人それぞれってことで。
楽しければ走ればいいし、痛かったり苦しかったりすればやめればいい。
大江戸的には、「いい年になったらファンランにしとかないと、心と体の健康に悪いからダメ」だと思いますが。
投稿: 大江戸時夫 | 2019年4月10日 (水) 22時59分