「記者たち 衝撃と畏怖の真実」:「バイス」の裏側 #記者たち #衝撃と畏怖の真実 ロブ・ライナー
映画『記者たち 衝撃と畏怖の真実』は、『バイス』と同じ頃のアメリカの国家的陰謀に迫るジャーナリストたちの物語。くせの強い変化球『バイス』に較べると、どストレートなんですけど、球質は軽め。91分とコンパクトですし、割とあっさりしています。まあ、『バイス』の方が随分とこってりしているって事も言えますけどね。
何しろこちらの作品では、実物のチェイニーやラムズフェルドや子ブッシュの映像が出て来ます。うーん、同時期公開で良かった。これ、どこかの名画座で2本立てにしてくれたらナイスですよね。ま、大江戸は『バイス』の方を高く評価します。
ポンコツ版『大統領の陰謀』って感じもあります。男二人のバディ記者物語にもなっていますし、実際に台詞の中にもボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインの名前が出て来ます。コメディリリーフ的なウディ・ハレルソンが場をさらい、目が離せません。
でも一番の儲け役は監督でもあるロブ・ライナーでしょう。その堂々たるルックスと、にじみ出る知性や人間味(と適当な軽み)。そして感動を呼ぶ名セリフ(記者たちを集めて、社のスタンスと精神を伝える場面)。役者としても見事なのでした。
勇んで戦争に行って、車椅子で帰ってきた若者のエピソードが最初と最後の方に入るのですが、これが今一つうまく行っていないのが残念です。
それにしても、今の日本に結構これと似た所があるので、いやな気持になります。ほとんどの報道機関が政府の御用機関になっているってのもそうですし、「先に結論ありきで、それに合った情報を集める」なんてのもそうですよね。国民の恐怖や不安に乗じて、そういうことを抜け目なく行うってあたりも同じなんですねえ。そういったプロパガンダに騙されないで、正当な疑いを持ちながら真実を見抜く目を養いたいものです。
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