「ドント・ウォーリー」:妙にマジメすぎて… #ドント・ウォーリー #ガス・ヴァン・サント
映画『ドント・ウォーリー』は、交通事故で下半身麻痺になったアメリカの風刺漫画化ジョン・キャラハンの伝記的作品。アル中のとんでもない人物です。数か月前に『こんな夜更けにバナナかよ』を観たばかりなので、車椅子といい主人公の破天荒さかげんといい、ちょっと似てるなあと思ってしまいました。邦洋を問わず、障害者を聖人君子としてではなく、このようにも描ける時代になったってことなんでしょうね。
主人公はいつも車椅子を猛スピードで走らせていきます。体を自由に動かせないじれったさを爆発させるかのようです。体はこうなっても俺は自由だ!という叫びのようでもあります。それで時々ころんだり、車椅子が故障してしまったりするあたりが、いかにもこの人です。
まあ、この人、お金にも困っていないみたいだし、天使のような女性にはモテるし、マンガの仕事でも評価されたり批判されたりしてるし、充実の生を送っています。恵まれた人ということもでき、そこが「ぬるい」と言えばぬるいところです。
ガス・ヴァン・サントって、なんか妙にマジメな映画を作る時があって、大江戸はそういう時はちょっと苦手に感じます--『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』とか『永遠の僕たち』とかのことです。この男を描くのなら、もっとシニカルな視点があっても良かったのではないでしょうか。教育映画かよ!って思うぐらいに清すぎる印象が全体に漂っているのです。
主人公の母親の顔が背後の空間に浮かび上がる(時代遅れで手垢のついた)技法を、冗談としてではなく使っていたのにもぶっとびました。
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