「洲崎パラダイス 赤信号」:大人の腐れ縁 #洲崎パラダイス #赤信号 #川島雄三 #ダメ男
神保町シアターの「一年遅れの生誕百年 映画監督 川島雄三」で、映画『洲崎パラダイス 赤信号』を観ました。夭折の天才監督・川島雄三の1956年作品です。
江東区の東陽町そばにあった洲崎遊郭末期を舞台にした腐れ縁男女の物語。オトナの世界です。今はこういう映画、なかなかありませんよねー。当然スッキリ爽やかとはいきません。そこらへんがまあ、日本の私小説みたいな良さなのです。
とにかく三橋達也演じる義治が仕事なし稼ぎなしの甲斐性なしで、そのくせ嫉妬深くて暗くて愛想なし。もう、どうしようもない「だめんず」なのです。森雅之から成田凌へと続く「日本ダメ男」の系譜に連なるキャラクターですよね。
対する新珠美千代は、いかにも水商売が似合う愛想の良さと尻の軽さと情の深さで、縞の着物や濃い色の着物(モノクロなので、何色かはわからない)をはすっぱに、でも粋に着こなしています。
でも本作を観た理由は、この劇場での先月の特集の延長線上で、芦川いづみを見たかったってことが大きいんですけどね。芦川さんは、そば屋の店員役。まあ、純真さが売り物(新珠との対比)って役柄です。
轟由起子や河津清三郎や植村謙二郎の存在が、この映画に大人の香りを与えています。人生の深みや苦みを与えています。 この時代の日本はまだまだ貧しかったこともわかりますし、酸いも甘いも…の大人の映画なのです。これを撮った時の川島(1918年生まれ)の年齢は38歳でした。ちょっと驚きますよね。
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