「アメリカン・アニマルズ」:犯罪は割に合わない #アメリカン・アニマルズ #バート・レイトン
『アメリカン・アニマルズ』は、風変わりな犯罪映画。実話だそうです。しょーもない大学生たちのしょーもない計画犯罪をドラマとして描きながら、随所に実の犯人たち(服役を終えた後の姿)が事件を回想する映像が入って来ます。え?この人たち、顔出ししちゃって大丈夫なの?とか、いろんな事を思っちゃいますよね。
古典的な芯を持ちながらも、外見はかなり新しい、今の時代性をまとった作品です。いつの時代も若者はバカ…ということが言えるのでしょうし、その無様な顛末を『現金に体を張れ』から『レザボア・ドッグス』や『オーシャンズ』シリーズまでを引用しながら描き出します。
アメリカン・ニュー・シネマ的感覚もあるなあと思いました。このアンチ・ヒーローズを目指しながら、全然そうなっていない連中のリアルさや情けない結末に、その青春の苦悶に、ニュー・シネマの皮肉や切なさが香ります。
一方では、非常に教育的な映画にもなっています。つまり、「犯罪は割に合わない」ってことをひしひしと実感できるような作品なのです。犯罪なんて、なかなか成功するもんじゃないんだなあとか、仮にうまく行ったとしても犠牲にするものが多過ぎるんだろうなあってことが、こんなに体感できる作品も珍しいでしょう。犯罪前後のデスパレートな精神的重圧の大きさをこのように描いてくれるなんて…。
長編ドラマ初監督だというバート・レイトン監督は、確かに才能があると思います。ただ、その才能をもっと生かせる作品がありそうな気がしますし、そういう作品と巡り合ったら大化けするかも知れません。
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