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2019年6月27日 (木)

「旅のおわり世界のはじまり」:他者や異文化を理解しようとしない人   #旅のおわり世界のはじまり #黒沢清 #前田敦子

366324_010  というわけで、映画『旅のおわり世界のはじまり』は、黒沢清がウズベキスタンで撮った新作。前田敦子が全編出ずっぱりで、TVの旅番組のレポーターを演じます。撮影隊は染谷将太と加瀬亮と柄本時生です。あとはみんなウズベキスタンの人々。チャレンジングな作品ではありますが、さすがは黒沢清。まったく危なげなく、目の離せない、そして類例のないような映画に仕立ててくれました。

あたかも前田敦子ドキュメンタリーのように見えるのですが、いやいや、前田敦子はちゃんと演技してキャラクターを造形しています。ある意味「しょーもない人」である主人公を、しょーもなく演じています。

366324_001 彼女のしょーもなさの中には、ヤギを逃がす場面に代表される独善性もあれば、殻に閉じこもって他者とコミュニケートしようとしない姿勢、ましてや他国の文化を理解しようなどとは全然考えていないことがあります。じゃあなんでレポーターなんかやってるの?って感じです。後半、ウズベク人通訳や警察の人がそのあたりを指摘することによって、黒沢が言いたいことが明確に示されます。

(黒沢らしく)嫌な感じの場面も多いのですが、最高に嫌な感じだったのが、さびれた遊園地で前田が乗る回転遊具(絶叫マシーンの類)の場面。あそこで大江戸は(多くの観客同様に)完全に遊園地のおじさんと一体化しておりました。そして、(前田もまたしょーもないんですけど)染谷将太が嫌なヤツでねー。他の場面も含めて、染谷君には(申し訳ないけど)今年の嫌なヤツ大賞をあげたいくらいの感じでした。

 366324_005 (以降ネタバレあり)  ラストで前田敦子が『愛の讃歌』をワンカット長回しで歌う山上のシーンは、本来見事に感動的に成功するはずなんですけど、観ていてそこまでの感銘は受けませんでした。なんか唐突なのと、歌唱力が圧倒的とまでは言えないので、「頑張ったねえ。練習したんだろうねえ。」って気持ちで終わってしまいました。せめて『愛の讃歌』じゃなかったらねえ(ハードル高過ぎ)。そして、彼女が一皮むけて成長したという晴ればれ感が、そんなに出てはいなかったのです。異文化理解ってテーマもどっか行っちゃったし。 でも、黒沢さんは前田さんにご執心なんでしょうねえ。満足してるんだと思います。そんな気がいたしました。そしていつものように、白いカーテンが風に揺れているのでした。

 

_20190624_0900481024x706  テアトル新宿恒例の衣装展示ですが、ご覧のようにあっちゃんの衣装2体でした。色も良くて、すっきりとオシャレでしたよね。

 

 

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