「新いけばな主義」展、そして三島喜美代! #新いけばな主義 #三島喜美代 #アートファクトリー城南島
平和島からの先にあるモノレールの「流通センター駅」から車で10分ほどの距離、つまり東京湾沿いの倉庫・工場街にある「ART FACTORY 城南島」で開催中の『第2回 新いけばな主義』(~6/30)という現代いけばなの合同展を観に行きました。工場をリノベーションしたようで、レンガと赤い色が印象的なおしゃれスペースです。
知人のいけばな家元から招待状をもらって伺ったのですが、大江戸もコンテンポラリーいけばなの大作を観るのは久々のことです。
広々とした空間に大きなスケールの作品が20点(のはず)展示されています。
いや、やっぱり面白いし、インパクトあります。謎の生命体のようなものからドレスみたいなものから、段ボール製の茶室まで、自由な発想のいけばなアートがずらりと揃っていて、壮観です。
植物を何らかの形で使っていればいけばなということなんでしょうけれど、本当に草月以来のこの世界は、まさに現代美術なんですよね。
今回グランプリを受賞したのは、円形の皿に盛られた白い粉(乾燥剤らしいです)の上に氷柱を立たせて、それが少しずつ溶けているという作品。これ、植物は一切使っていないのだそうです。大江戸の感覚からすると、「それっていけばなと言えるんですかい?」と思ってしまうのですが、いやー、いけばな界の人々って懐が深いんですねえ。
というわけで興味深く鑑賞して4階の会場を後にしたのですが、帰り際に1Fの常設展を観たら、これが凄かったんです。
三島喜美代さんというアーティストの作品なのですが、まず最初の『Wreck of Time 90』という作品は、四角いゴミだか土だかの塊みたいなもので、ところどころ新聞とかの文字が見えたりして、終末感漂うその感じがアンセルム・キーファーのようでした。
これで「ほほう」と思って、その奥に歩みを進めると、・・・凄いものが待っていました。
新聞紙の積み重なる迷宮です。
うわー、なんだこれは!ですね。
でも良く見るとこれ、紙ではなくてプラスティックか何かで造られた造作物です。
新聞紙がこれだけ積み重なるというのは、どうしても「時間」、その堆積を連想させてくれます。
時の歩みが作り出してきた過去の歴史--その気が遠くなるような時間…。
そして新聞の迷路を通り抜けると、その先には体育館のような広いスペースに何かがぎっしりと敷き詰められていました。
なんだこれは?
レンガのような瓦礫のような様々な形の石状のブロックです。
さらに近づいて見てみると、おお、一つ一つのブロックに文字が書いてあります。いや、新聞記事が転写されているのです。そうか、ここで新聞紙がつながっているわけですね。
新聞紙の内容を読んでいる時間が無かったのですが、どうも震災などの災害や戦争の記事が多いような気がしました。なるほど、それで瓦礫…。やはりキーファー的感覚がありますね。
いやー、圧巻でした。そして、これを作り上げる気の遠くなるような手間と労力を考えると、やはり「時間」に思いを馳せないわけにはいきません。一人の人間が生きる時間、そして人類が歩んできた時間。もちろん解釈は人それぞれでしょう。
力のある作品でした(作品名=『Newspaper 08』)。時間のある時に再見したいものです。そして、三島喜美代さんを知らなかった不明を恥じる大江戸なのでした。
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