「ホットギミック ガールミーツボーイ」:キラキラ映画への果たし状 #ホットギミック #ガールミーツボーイ #山戸結希 #吉岡里帆
映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』は、山戸結希監督がアイドル映画やキラキラ映画に突き付けた果たし状。いやあ、攻めてます。危険球です。でも最終的にはある種の感銘を与えて終わります。『溺れるナイフ』はあまり好きじゃなかった小生ですが、こちらの作品は評価します。
カット割りは多く、というか激しく、アップは多く、映像は揺れたりスマホ画像に切り替わったり、現代の意匠なのです。でも、ところどころに非常に平凡で古くさい絵が入っていて、俳優陣も脇にメジャーな人たちを置いたりして、商業映画としての観やすさにも配慮してくれているように思いました。それが山戸監督の成長あるいは戦略なのかも知れません。
でも目が離せない映像であることは確か。そして無機質で現代的な学校や集合住宅のビルディングからラストの湾岸の夜景まで、ロケ地の選択が見事。橋の多用も、この子供から大人へと向かう年代を象徴してたりするんでしょうね。
とりわけラストのレインボーブリッジやビル群の夜景を背景にした(おそらく増感した)撮影が素晴らしくて、あのファンタジー的映像とカットの畳みかけ、芝居とダイアローグの畳みかけと共に、ある種のマジックを現出させてくれてました。観ていてドキドキするほどの高揚がありました。「これが映画」っていう数分間でもありました。
十代とか二十代前半とかでこの作品に出逢えた人は、すっごいインパクトを受けるでしょうし、その年代でこの作品に出逢えるって幸せですね。今年は「青春映画」(『チワワちゃん』『町田くんの世界』など)や「恋愛映画」(『愛がなんだ』『疑惑とダンス』など)に、今を反映した新機軸の良作が多い年なので、嬉しいです。この作品もそんな1本です。
ただ登場人物は誰も好きになれないなあ。そこらも新しいところかも知れませんけど。 脇役の吉岡里帆がきちんと芝居してました。一見平凡な人の役を、感じ良さそうにふるまってるけど、ちょっと異常で嫌な感じのオーラが滲み出てる感じに演じておりました。この人、意外にいつも緻密な芝居をするんで、イメージとのギャップに驚いちゃうんであります。
| 固定リンク
コメント