「新聞記者」:製作陣の勇気に拍手 #新聞記者 #松坂桃李 #忖度と保身の国
映画『新聞記者』は、現政権に関わる実在の事件を正面から描いたポリティカル・フィクション。多分にノンフィクションなのでは?というほどの肉迫ぶりであり、今の日本でこれを製作した人々の勇気には感動します。でもハリウッドでは、トランプの横暴にも負けずに『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』や『記者たち 衝撃と畏怖の真実』や『バイス』などが作られ続けているわけですからね。「日本にもやっと…」という思いもありつつ、ここは素直に勇気を讃えたいと思います。実際、上映館(吉祥寺アップリンク)では終映後にかなりの拍手が起きて驚きました。その事実に、ちょっと目頭が熱くなったりもしました。
とは言え、上映館が(東京エリアだと)アップリンクやユーロスペースなどが中心で、シネコン(新宿ピカデリーなど)は少な目だというあたりに、壁を感じますね。やっぱりこういうのが堂々とシネコンでヒットしてくれないとね。
マスコミなどでも「昔は結構政治を題材にしたフィクションが、メジャーな映画になっていたのに…」という声がありますが、そうなんですよね。いつから日本は、こんなに息苦しい「忖度と保身の国」になってしまったのでしょうか?
そんな中、出演してくれた役者さんたちにも敬意を表したいと思います。松坂桃李や田中哲史や本田翼や北村有起哉のおかげで、本作がある程度のポピュラリティーを獲得しています。小規模公開の低予算マイナー映画だと、やはり一部マニアの狭い範囲にしか届かないのです。広がらないのです。それにしても、松坂くんって『娼年』といい『孤狼の血』といい本作といい、根っからのチャレンジャーですね。
でも映画全体の出来としては、「最高」とまでは行きませんでした。映画的にあまりうまくない。脚本が練れていない。盛り上がりが足りない=娯楽映画としての訴える力が物足りないのです。ラストシーンなども、やや中途半端で、力が足りないのです。勇気溢れるものにせよ、ぞっとするようなものにせよ、ここをもっとうまく作れたら、もっと傑作になったのになあと思うと、残念です。
とはいえ大昔から新聞記者映画って、輪転機が回る場面では高揚して感動しますよね。本作もかなり『ペンタゴン・ペーパーズ』的な描写でしたが、お仕事映画として熱くなるものがありました。
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