「ピータールー マンチェスターの悲劇」:怒りと意志と #ピータールー #マンチェスターの悲劇 #マイク・リー
映画『ピータールー マンチェスターの悲劇』は、マイク・リーが史実をもとに作った新作。2時間35分の(彼にしては)大作です。
ただ終盤にいたるまでの2時間ほどは、貧しき民衆と驕れる支配者たちの対比や民衆の暮らしが淡々と描かれて、かなり長く、ともすると眠くなりました。やっぱり2時間ほどに納めるべきだったんじゃないですかねえ。
でも時代劇の形をとりながらも、そのメッセージは現代社会をも貫くもの。資本家と政治家と庶民の構図などは、今もなお変わっていないことがパセティックです。
さんざん待たされてからのクライマックスである演説会の場面は、さすがに力が入っています。ここから最後までの場面のおかげで映画の評価もだいぶ持ち直したってもんです。ただ、やっぱりマイク・リーはアクションが苦手みたい。そりゃあ慣れてませんもんねえ。
それにしても6万人の聴衆がいたわけでしょ。映画ではとてもそこまで人が多かったようには、撮れていません。そこらもマイク・リーの守備範囲の外もたいな気がしますもんねえ。それで、地声の演説ですよ。当時はスピーカー・システム一切ありませんから。そりゃあ聞こえませんよね(人々が「聞こえない」と言ってる場面もありましたが、本当にムチャですね。何割の人に届いていたのか?)
クライマックスからラストにかけては、マイク・リーに「怒りの作家」ケン・ローチが乗り移ったかのように、観る者に怒りを感じさせるものでした。この時代に英国の老巨匠二人(ケン・ローチ=83歳、マイク・リー=76歳)が、権力への怒りをむき出しにした映画を撮った事実(本作と『わたしは、ダニエル・ブレイク』)は、重いですね。現代に起こっているあれやこれやに対して、「どうしても言っておきたい。描かねばならない。」という意志と気骨に溢れておりました。
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