「主戦場」:居心地悪さの向こう側 #主戦場 #ミキデザキ
映画『主戦場』をようやく観たのですが、愛知県の展覧会のすったもんだがあったためにあまりにもタイムリーになってしまいました。日系アメリカ人のミキ・デザキ監督による従軍慰安婦問題とその周辺を描くドキュメンタリーです。
終始ある種の緊張感と、かなりの居心地の悪さを感じないわけにはいかない映画です。それは自分が日本人ということに起因しているので、どうすることもできません。そしてこの問題を少しずつ理解しながら、その奥にある更に大きな問題を理解できるように作られているので、どうしても暗澹たる気分になってしまうのです。
制作のマナー(スタイル)としては(新聞で言うところの)「両論併記」的スタンスで描いています。しかしどちらの言うことに信ぴょう性があるのか、どちらの理屈が正当なのか(または、どちらが嘘くさくうさんくさいのか、どちらの理論が破綻しているのか)は、ニュートラルに観ていれば徐々に明らかになっていくので、結局は作家の主張がしっかり表現されたドキュメンタリーになっています(ドキュメンタリーって、そういうものです)。だから本作を非難、攻撃する人々も出て来るわけなのです。
大江戸自身、本作を観てこの問題の全貌を大局的に理解できましたし、知らないことも多かったので勉強になりました。
いずれにしても、「他人の書いたものはあまり読まない」なんて人が、しかるべき地位にあったりすることに驚きました。他者から学ぶ姿勢、事実を吸収する謙虚さが無い人が、自分の中の思いだけで、あるいは利得のためだけに暴走することほど怖いものはないではありませんか。それを許容してしまう現代日本の体制や社会のありように、胸苦しい塊が胸に残る、でも多くの人が観るべき映画だと感じました。
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