「アルキメデスの大戦」:背骨の通った良質娯楽作 #アルキメデスの大戦 #山崎貴 #菅田将暉 #田中泯
映画『アルキメデスの大戦』は、予想よりもずっと面白い娯楽映画であり、反戦映画でありました。予告編を見た限りでは、こんな映画だとは思いませんでした。(以降少々ネタバレあり) もっと戦闘シーンも随所に散りばめられた作品かと思ったら、なんと冒頭の5分かそこらだけ。後はずっと、資料探しや計算や会議の繰り返しでできている映画。それでも、メッチャ面白いんですよねー。
でも戦艦大和の沈没に至る激闘=本作唯一最高のスペクタクル(見事なクォリティのVFXでした。さすがは山崎貴監督!)を冒頭に持って来たもので、映画館に遅刻してきた人は観ることができません。はい、残念でした。遅刻したあなたが悪いんです。残念だと思ったら、もう一度鑑賞してくださいね。 話変わるけど、映画の場合は「鑑賞」って言葉があるのに、近年ビデオや動画の影響なのか「視聴」と言う言葉が結構幅を利かせております。いやだなあ。やっぱり映画は「鑑賞」でないとね。
マンガが原作だとのことですが、滅法面白い物語です。菅田将暉演じる数学の天才が見事にキャラ立ちしていて、その変人ぶりと一途な行動が観る者を惹きつけます。菅田くんだと数学の天才には見えない気もするんですが、じゃあ他の誰がやったらいいのかというと、・・・うーん、なかなかいませんねえ(神木隆之介?ちょっと弱いかなあ)。彼と柄本佑のバディ感が、最初は反発→固い友情へという定番展開ながら、よく描けていて魅力的です。
クライマックスが会議や方程式だというのもなかなかユニークですが、ここで役者としてはセミプロ的な小林克也が、橋爪功、田中泯、國村準、舘ひろしらに囲まれてる図は凄かったですね。小林さん、恐縮してやりにくかったでしょうねえ。でも、キャラ的に堂々たる軍人の中で彼の小物感が出た方がいい役だったので、これは計算の上のキャスティングだったのでしょう。
その会議後半から後日の場面にかけての田中泯さんのメフィスト的芝居は凄かったです。泯さんの中でも『たそがれ清兵衛』と並ぶキャリアハイの演技では? 助演男優賞ものですね。
キャリアハイは山崎貴監督にとっても同じだと思います。『ALWAYS 三丁目の夕日』(第1作)に並ぶキャリアハイ。娯楽職人として、ハイスペックのエンタテインメントに仕上げながら、しっかりと反戦へのメッセージ、現代日本への警告という背骨を通したのもあっぱれでした。
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