「影に抱かれて眠れ」:やさぐれ純愛ハードボイルド #影に抱かれて眠れ #加藤雅也 #中村ゆり #クレイジーケンバンド
映画『影に抱かれて眠れ』は、今日び珍しいハードボイルド抗争映画with変則純愛。東映マークが良く似合いそうで、実際に都内では丸の内TOEI2のみの公開なのですが、製作も配給も東映ではありません。
北方謙三原作(北方先生、クラブのシーンで特別出演しておられました)のキザなハードボイルド主人公を演じるのは、日本で(ほとんど)唯一、キザが似合う男 加藤雅也(ちなみに大江戸と同じ4月27日生まれ)。この人、近年はいい感じに老けて、味わい深くなりました。本作でもカッコイイやさぐれ感が、サイコーです。カッケーんです。
そして女は、中村ゆり。この人も近年素晴らしいです。日本生命のCMで彼女が演じるけなげなお母さんは、何度見ても(本当に)泣けます。本作でもなかなか泣かせる役柄でして(薄幸キャラなだけに)…そして彼女の敬礼ポーズ、いいっすねえ。また、彼女と加藤雅也が安食堂デートで、コップ酒を口からお迎えにいく場面も名シーンだと言えましょう。
まさにプログラム・ピクチャーとかB級とかであり、この時代に(なんとか)映画館で公開されたこと自体、奇跡のような作品です。それだけに、瑕疵には目をつぶって、嵩上げ評価をしてあげたくなる作品なのです。和泉聖治作品を好きになったのも、(申し訳ないけど)『オン・ザ・ロード』('82)以来かなあ。
そりゃあ、変な所とかツッコミたくなるような所とかそもそもの物語に対する疑問とかいろいろあるんですよ(純愛パートと抗争パートが完全に別物で、全くリンクしない!)。でも、ハードボイルドってムードを味わうものだから、そういう所には目をつぶりましょう。久々に「シビレる」映画だったことは確かです。ただ悪役キャストがちょっと大物感薄くて、弱いですねえ。そこらはちょっと残念。
あとオープニングとエンディングに流れるクレイジーケンバンドの『場末の天使』(かなりの昭和感)が、横浜、特に野毛あたりを舞台にしたこの作品にぴったり合いまくっておりました。
でも大江戸が観た平日夜の回に、お客さんは10人ぐらいしかいませんでした。うーん…。
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