「ある船頭の話」:オダギリジョーは良い監督 #ある船頭の話 #オダギリジョー #クリストファードイル
映画『ある船頭の話』は、オダギリジョーの初監督作品(脚本も)。ご本人は一切出演されていません。で、本気の映画です。新人監督のデビュー作としては、上々よりも更に上でしょう
柄本明を主演に迎えて、どっしりとじっくりと地味な物語を紡いでいきます。ただ、テンポが悠揚かというとそうではなくて、次から次へと物語が転換していくのです。その移ろいの早さがむしろ不思議なほどなんです。カット尻がやけに短いと言いましょうか…。
クリストファー・ドイルが担当した映像も、特に「美しさ」を狙ってはいないのですが。見事に映画的な「いい絵」が撮れています。限定された空間であるにも関わらず、見飽きないというか、素敵な映画時間が流れていく映像なのです。
オダギリジョーが監督するということで、この豪華なキャストや豪華なスタッフが揃ったのでしょうけれど、柄本明、村上虹郎、橋爪功、伊原剛志、村上淳、浅野忠信、蒼井優、永瀬正敏、草笛光子といった面々が揃っているのも、作品自体が地味なだけに、凄いことです。そしてカメラのクリストファー・ドイルや衣装のワダエミさんも、相変わらず「いい仕事」しています(ヨーガンレール的な女の子の衣装は、オシャレ過ぎですけど)。
ちょっとカッコつけすぎて観念に走ったところとかありますけど、全体的には大いに評価したい監督デビュー作です。オダギリジョーが映画ってものをわかってるって感じの作品でした。
柄本明の淡々とした主役芝居も、橋爪功や永瀬正敏の「さすが」な芝居も、立派です。赤い服の女の子=川島鈴遥の野生味も、当世なかなか貴重だと思います。
ジャ・ジャンクーとかの良質なアジア映画の雰囲気を湛えた作品であり、2時間17分飽きることはありませんでした。オダギリ監督の次回作が愉しみになるような映画ですね。
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