「楽園」:人間のしょうがなさと哀しさ #楽園 #吉田修一 #瀬々敬久 #杉咲花
映画『楽園』は、吉田修一原作の犯罪映画。ま、そう言っても吉田作品の場合、「犯罪を通して人間を描く」のが主眼です。ミステリーじゃないんです。だから映画としては妙にすっきりしない、もやもやと残尿感のある感じの作品が出来上がるのです。『悪人』にしても『パレード』にしても『怒り』にしてもそうですもんね。小説はあまり読んでないのですが、新聞の連載で読んでいた『悪人』にしても『国宝』にしてもそうでした。
ただ、世の中に蔓延する負の空気をしっかり反映させています。そういった意味では、『ジョーカー』みたいな作品ですね。気持ちが晴れるわけもありません。 そして「田舎って(田舎の人間関係って)いやだなあ」と強く感じてしまいます。大江戸的には、ちょっと耐えられません。申し訳ないけど。各種差別や村八分=同調圧力の嫌な空気と救いのなさに、暗澹たる思いになります。ダウナーな映画です。人間ってしょうがないなあ。哀しいなあ。
そんな中で相変わらず可憐な杉咲花は、一服の清涼剤。もう22歳なのに、幼く見えますね。 村上虹郎はビジュアル的にも、役の性格的にも、どんどん崩れていくなあ。 そして片岡礼子がここのところ復活して来ましたね。また活躍してもらいたい女優さんです。
作品のテイストとしては『悪人』に似ています。そして、これを瀬々敬久が撮るってのが、ピッタリ過ぎ。でも瀬々監督が吉田作品を撮るのって、初めてなんですってね。2度目がありそうな気がしますね。
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