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2019年11月16日 (土)

「ひとよ」:白石和彌らしからぬヤワさ   #ひとよ #白石和彌 #松岡茉優

 映画『ひとよ』は、『麻雀放浪記2020』『凪待ち』に続く、今年三本目の白石和彌監督作品。地味な題材の割には、田中裕子、佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優というしっかり上質のキャスティング。しかも脇に主役級の筒井真理子や佐々木蔵之介がいるという豪華さです。

で、皆さんしっかりとした良い芝居をしています。やさぐれた佐藤健は終始暗い目をして、爽やか感を封印しております。田中裕子さんもさすがですが、この人に対する期待値は高いので、「これぐらいできて当然」と思ってしまいます。なので、やっぱりここでも松岡茉優が一番うまいという結論に達します。今年の作品としては、『蜜蜂と遠雷』で主演女優賞、本作で助演女優賞ノミネート確実って感じですね。

 

 白石和彌作品なのに、最終的には心温まるものがあるというか、ある種のヤワさがあると思ったら、原作の舞台劇があるんですってね。そこの影響が大きいんでしょう。そこらへんをどう評価するか?ってところですけど、大江戸はイマイチだと思いました。白石作品らしいゴリゴリねじ込む感じがなくって、どうにも物足りないんです。なんだかマラソン選手が競歩に出てしまったような違和感が…。

 

7 辛い話ですが、随所のユーモアが救いとなっています。そして、しょーもない男たちに比べて、女たちの心根が(いろいろ抱えながらも)素敵なのが、作品のやわらかさや希望となっています。田中、松岡、筒井に加えて、韓英恵やMEGUMIの役もいい人ですもん。それ言ったら、珍しく音尾琢真もいい人でしたけどね。

とはいえ、やっぱりこの監督にはもっと血も涙もないような物語を期待してしまうんですけどねえ。今年は『凪待ち』の方が上でした。

 

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